Tournament article
中日クラウンズ 2007
選手会長が首位スタート
「今日は、苦しい戦いになる」と感じた。
やはり強風が吹き荒れた開幕戦の東建ホームメイトカップ3日目。2位タイでスタートしながら79を打った。
嫌な記憶。よぎる不安。必死で振り払う。
出来るだけ前向きな言葉を使って、自分に言い聞かす。
「お前は、上手いんだから。あれだけ準備をしてきたのだから。絶対に大丈夫。お前はやれる」。
緊張でこわばると「人よりも早く体が固まってしまうタイプ」。
解消するには、芯から体を温める必要がある。
開幕から2週間というもの、ウィンドプレーカーを4枚着込み、首にタオルを巻いて、「変質者ギリギリの格好をして(笑)」、毎日ランニングを続けてきた。
またあるときは、風呂場で熱湯を出しっぱなしにして、ドアを開け放してストレッチ。
「部屋をサウナ状態にして大汗をかく」。
気温20℃を超えたこの日初日はあえてスラックスの下に、インナーウェアを着込んで完全装備。
おかげで、「まるでムチがしなるみたい」。2週前と体の動きが全然違うと実感できる。
クラブも準備万端だ。
和合特有の小さく早い砲台グリーン用として、今週バッグに入れたサンドウェッジは「フワリと高い球が打てる」。
主に米ツアーで使用する洋芝用のそれが、大いに役立っている。
34インチのパターは、「33半インチくらいのところでグリップするようにした。短く握って、手を垂らして肩の力が入らないように」。
そんな工夫の数々が、この日初日のロケットスタートを呼び込んだ。
1番で8メートルのバーディパットを決めた。
2番で13メートルのイーグルパットをねじこんだ。
選手会長が、タフなコンディションの中で首位発進。
このオフは「慣れないスーツを着て、ソファの端にちょこんと座って偉い人たちとお話する毎日」だった。
3月には、長女・環子(わこ)ちゃんが誕生して初めてのおしめ替えに四苦八苦。
大型連休には、東京都内で宮参りを控えている。
「選手のほかに、会長として、パパとして。今年は、3足のわらじを履いている」。
“本業”以外に取られる時間が一気に増えたが「それぞれの責任を、まっとうしたい」。
どの立場でも、手を抜くつもりはさらさらない。
選手会長で、賞金王に輝いた例はまだない。
「狙ってみたい」と深堀。
「フロックでは勝てない」、この歴史と伝統のクラウンズを制し、目標達成の足がかりとする。