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東建ホームメイトカップ 2008
宮本勝昌「神様がどちらも頑張れ、と」
特に、男子ゴルフの低迷が囁かれはじめてからその傾向は顕著となり、横田真一は就任2年目の2006年にシード落ちを喫した。
本人は「絶対にそのせいではない」と強調したが、横田の献身ぶりを知っている関係者の間では、同情の声も多かった。
今年1月5日の選手理事会で、互選によりその任を受けた宮本も、内心「大変なことになったと思った」と、振り返る。
「本当に、やっていけるのか…」。
そんな不安を払拭してくれたのが、他の選手仲間たちだ。
横田や昨年の深堀圭一郎・前選手会長をはじめ、谷原秀人や近藤智弘ら副会長がサポートを約束し、奔走してくれた。
「みんなには、本当に感謝している」と宮本はしみじみという。
そして、何よりの支えが家族の存在。就任してすぐ、朋美夫人が言ってくれた。
「家は私がしっかりと守るから。安心してゴルフに集中して」。
その言葉に支えられ、二足のわらじを履く覚悟ができた。
このオフ、配った名刺は300枚。慣れないスーツを着て各企業を飛び回った。会議のたびに、地元・御殿場と東京を往復した。
時間が削られる分、中身の濃い練習を心がけた。
「今まで以上に1打1打を大切に打った。おかげで例年以上に充実したオフが過ごせた」。
開幕に向けて、ゴルフにも日に日に手ごたえを感じつつ、時間をやりくりして家族サービスも怠らなかった。
夫の朗報を自宅で受けた朋美さんは、「忙しい中でもドライブに連れていってくれたり、翔太郎(長男・2歳)の相手までしてくれたんです。今年は、彼に改めて感謝と尊敬のオフシーズンだったんです」と、胸を押さえた。
「そんな彼を、きっと神様が見ていてくれたんだと思います」と言った妻の祝福の言葉は、奇しくも本人の喜びの声とリンクした。
「今年、こうしていきなり最高のスタートが切れたのはゴルフと選手会長、どちらも両立して頑張っていきなさいと、神様が言ってくれてるんだと思う」。
選手会長の在任中に、賞金王に輝いた選手はまだいない。
このデータに宮本が、目を輝かす。
「ぜひ最後までやりたいですね、賞金王争いを…!」。
開幕戦でのツアー通算7勝目にますます自信をつけて、宮本が堂々と2008年のジャパンゴルフツアーを引っ張っていく。