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ANAオープン 2008

市原建彦「祝杯をあげます」

13試合ぶりの決勝進出に喜ぶ市原
通算5アンダーでホールアウトするなり、次々と握手を求める人だかり。中には「おめでとう!」と声をかけた人までいる。本人も安堵の笑みで「今日はささやかな祝杯をあげたいと思います」と、まるで優勝したかのな騒ぎも、これが今季初の予選通過と言えば、納得していただけるかもしれない。

棄権3回、失格1回を含み、13試合連続で決勝に進めなかった。
レベルアップを目標に取り組んだスイング改造。
精度の高いフェードボールを目指したが、たちまち迷路にはまり込んだ。
予選落ちが5試合、6試合・・・と続くと、焦りから練習場から離れられない。
「長いときには6時間くらいずっと球を打って・・・」。
深みにはまって、とうとう首をひどく痛めた。
朝、起きるとぴくりとも動かない。
8月の2試合連続の棄権は、体が悲鳴をあげていた。

10試合目を迎えたころには、「俺はどこまで悪い記録を作るのか・・・」。
諦めにも似た気持ちになった。

八方ふさがりの状態に出口を見つけてくれたのは、市原が兄貴分と慕う髙橋竜彦だ。
「こうでなくちゃいけない、という形にとらわれすぎている。もっと感性を大切に。スイングの途中でだって“このまま下ろせば右に曲がる”とか、何か感じるものはあるはずだから」。

理論も大事だがその言葉で「もっと自分のやりたいようにやってみよう」とそう思えた。
同時に夏の3週間のオフはあえてクラブを握らずリフレッシュ。
体調管理を重視して、休養を取ることを優先させた。

復調の兆しは見えていた。

予選通過の壁を破ったら、いきなり上位で決勝ラウンド進出。
この日67をマークして、6位タイに浮上した先輩の髙橋もうれしそうに言った。
「ほんとうに心配していたからね。こうなったら今週は2人で優勝争い。“たつたつコンビ”で盛り上げますよ」。
同じ名前の読みであることも、2人が気の合った理由のひとつ。
輪厚に“Wたつひこ”旋風を巻き起こす。

  • ずっとやきもきしていただけに、髙橋もホっと胸をなで下ろした

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