Tournament article

日本オープンゴルフ選手権 2008

H・リー「ハン・リーと言います。川岸さんではありません」

普段の会場でジャンボ尾崎が顔を会わせるたびに言う。本気とも冗談ともつかない口調で「おお、川岸!!」。素で間違われても、不思議でないほど川岸兼良にそっくりだ。
外見は、ジャンボの愛弟子。
しかし、迫力のプレーはさらにその上を行くタイガー・ウッズ?!

「いやあ、そう言ってもいいくらい。彼はパワフルですよ」と、舌を巻いた同組の藤島豊和との身長差は23センチ。

190センチ、体重91キロの体でとにかく飛ばすが、いかんせんここ古賀はフェアウェイ幅がとにかく狭い。
得意のドライバーも「ラフばっかりで・・・」。
この日は前日より1ホール多い2ホールで使ったが「どちらもやっぱりラフに入った」と苦笑する。

かわりに2番アイアンと、4番アイアンを多用しているが、それでも十分、飛距離が出るからそれほど苦労はない。
夏から握った42.5インチの中尺パターも好調でこの日はイーブンパー。
3日間、この難コースでそれほど大崩れもなく通算6オーバー5位タイで、最終日を迎える。

韓国で生まれ、2歳のとき両親とアメリカに渡った。
恵まれた体格を生かし、野球、アメリカンフットボール、バスケットなどさまざまなチームスポーツに興じたが、カリフォルニアのUCバークレイ大進学と同時に、ハンディキャップ10の母モナさんの手ほどきで9歳から始めたゴルフに転向した。

「僕はどうも団体戦に向かなくて。でもゴルフは自分だけに責任があるからいい」と、2001年のカナディアンアマで連覇を達成するなど、実績を積んできた。

同年のプロ転向後、米ツアーやアジアンツアーに挑戦したがさしたる成績もなく、友人のS・K・ホらの勧めで来日。
昨年のファイナルQTランク7位の資格で、今季参戦1年目の“ルーキー”だ。

国こそ違えど、ナショナルオープンの重みも十分、承知している。
「でもそこんところ意識しちゃうとダメになっちゃうからねぇ・・・。今日と同じリズムでやるよ」。
大きな体に似合わず、愛嬌のある笑顔で抱負を語った。

関連記事