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UBS日本ゴルフツアー選手権 宍戸ヒルズ 2008
星野英正「俺のほうが経験も上」
普段から、同じゴルフ場で練習しているからだろうか。
彼の長所が分かるかわりに弱点も「見えすぎるくらい、よく見える」。
巧者の星野から見ても、岩田のパッティングのうまさは申し分ない。
しかし、惜しいのは状況判断をする能力。
たとえばトリプルボギーを打った14番ホール。
岩田は「低い球を打とうと思った」と話したが、星野にしてみれば「何を考えてそんな球を打つのかと言いたくなる」。
2週後に控えた全英オープンを意識して、あえてそういうショットを試しているのかもしれないが、大事な場面でバタつく様子を見るにつけ「そのせいで、崩れているような気もするからね」。
いまもっとも伸び盛りの後輩の、順調な成長を気遣う一方でツアー2勝のプライドがうずく。
「あいつはまだ勝っていないし…。やっぱりまだまだ、俺のほうが経験も上。彼にはまだまだ、スキもある」。
勝てば5年シードのタイトルは、そう簡単には渡さない。
このところ、江連にしょっちゅう叱られている岩田に引き替え、星野は最近ほとんど何も注意されない。
むしろ「ヒデはもう、ちょっとのことなら自分で直せるだろう」と言われるとおり、微調整ならほとんど自力でできるが「今週は、不安がひとつもない」と言い切れる自信。
狭いフェアウェーに深いラフが生い茂るこの難コースも「ここは僕向き。そんなに神経質にやる必要はない」と言える余裕。
「パッティングも今日はまともにラインを読んだのは最後のホールくらい」。
どんな距離も一瞬で読み切り、直感を信じて打つ。
どこまでもスマートなゴルフで、星野が初タイトルを狙っている。
知人を介して知り合ったプロ野球オリックスの清原和博選手が「優勝したら、ホールインワン以上の価値があるプレゼントをする」と約束してくれたのが、5月の三菱ダイヤモンドカップ。
3日目に首位に立ちながら3位に終わり、ひとまず反古になったがもし今週、ツアープレーヤーNO.1の称号を手に入れたら…。
「清原さんに電話をしてみようかなぁ」。
ニヤリと笑った。