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長嶋茂雄 INVITATIONAL セガサミーカップゴルフトーナメント 2008
ジーブ・ミルカ・シンが逆転優勝
3番からの連続バーディで、一気にスコアボードを駆け上がり、首位タイで迎えた最終18番は、奥から6メートルのバーディパットだ。
2003年、本格参戦3年目の日本ツアーでシード落ちを喫し、ロッカールームで泣き崩れていたジーブはもう、どこにもいない。
ド真ん中からねじこんで、拳を突き上げる姿には風格さえ感じさせた。
表彰式で、大会名誉会長の長嶋茂雄氏から優勝杯を受けて感無量。
とはいえインド出身のジーブは、前日までその存在を知らなかったが、プロ仲間からその偉大な功績をとうとうと説かれ「ものすごく有名なプロ野球選手で、日本の英雄と聞きましたから」。
日本式にうやうやしく腰を折って、精一杯の敬意を表してミスターの前に進み出たジーブは誰もがうらやむその栄誉に酔いしれた。
欧州ツアーで2勝をあげて、アジアンツアーの賞金王に輝いたのは2006年。
日本でも初優勝から2週連続優勝をあげて、世界へと羽ばたいていった。
その年、日米欧亜を合わせて39試合に出場したタフガイは、いまも週替わりで世界を飛び回り、今季
はこれで、すでに20試合目。
今年37歳。
「もういい年なのに。出過ぎですかね」と照れくさそうに頭を掻きつつ、6月には欧州ツアーで早1勝をあげて現在賞金ランキングは11位と、いま乗りにノっている。
「医者に止められながらも日本に来て・・・人はクレイジーと言うだろうね。でも休むには惜しいくらい、ゴルフの調子が絶好調だったから」と、こともなげに笑う。
怪我を押しての強行軍には、ほかにもいくつかの理由があった。
会場のザ・ノースカントリーゴルフクラブのレストランは大会のご厚意で、選手はすべて無料で食事
できることになっている。
郷土色強い豊富なメニューの中でもジーブのお気に入りは、道産の筋子と定番の納豆だ。
また夜は、千歳の町に繰り出して好物のジンギスカンに舌鼓を打つ。
そのおいしさは「足の痛みも吹き飛ぶほど」と言って笑わせた。
そして、最後にコースコンディション。
「僕は世界中でプレーしてますが、ここのグリーンは世界一と言っても良い。それくらい素晴らしいと断言します」。
はるばる海を渡って日本ツアー2戦目に臨んだのは「このコースと、北海道が大好きだから」と、ジーブ。
それ以上に愛してやまないクドラ夫人は前夜にインドを出発し、ウィニングパットを決めたのとほぼ同時にコースに着いた。
今年の1月4日に結婚式をあげたばかりの新妻は、まさしく勝利の女神。
心強い味方を得て次週はやはり、道内の小樽カントリー倶楽部で行われるサン・クロレラ クラシックで自身2度目の2週連続優勝を狙う。