Tournament article
三菱ダイヤモンドカップゴルフ 2009
芹澤信雄も横尾要も「試練ですよ」
横尾は朝からお手上げだった。荒れ狂う強風は「手の施しようがなかった」と、うなだれる。
突風にあおられて、制御がきかない。「たまたま風が弱まったときはうまくいくし、打った途端に風に吹かれればボギー、ダボでしょ。良いショットを打ったからといって、バーディが取れるわけじゃない。運、不運が凄く出た日」と、ため息をつく。
芹澤も、スタートから躓いた。1番でダブルボギー。右のラフに打ち込んだ第2打は刻んで100ヤードのアプローチを残した。
そこからグリーンオーバーしたが、「固くボギーで、と守りに入ったのがいけなかった」と悔やむ。
1メートルのボギーパットを外し、背中に冷や汗がつたった。
続く2番は左林に打ち込んでアドレスが取れず、膝を地面につく不自然な姿勢で打つ羽目に。
出だしの大叩きにすっかりリズムを崩し、「ボギーが止まらくなってしまった」と、苦笑する。
2007年のクリスマスに左肩の手術に踏み切ってから丸1年。
ようやく痛みも消えて、トレーニングも再開し「10歳、若返って戻ってきました」と話したのは前日初日。
主催者推薦を受けて、出番を得た今週はゴルフも絶好調で、50歳を機に来年は米シニアの「チャンピオンズツアーを目指す」と、話していたものだ。
「それなのに、こんなスコアで・・・」。
すっかりしょげかえって前半を折り返したとき、目にしたスコアボードを見て、気持ちを立て直した。
ラウンド中の選手の中で、アンダーパーで回っている選手など、ほとんどいなかった。
みな苦しんでいると分かって「恥ずかしくなくなった」。
後半から「開き直った」。難しいホールが集中する大洗の上がりホールを懸命にパーでしのぎ「怪我を最小限にとどめることが出来た」という。
術後、試合を離れていた時期が長かった芹澤にとって、これほど強い風の中での実戦は、本当に久しぶり。
しかも、舞台は屈指の難コースとあれば、「ろくに、スイング出来ないのも当たり前。その中で、よく頑張りましたよ」とホールアウトした頃には、ようやく自分を認める気になった。
横尾も芹澤も声をそろえたのが「今日は試練」ということ。
そして「初日の貯金が生きた」ということ。
芹澤は、「最初の3ホールで吐き出しちゃったけど、それでも(貯金が)なかったら、予選通過さえ出来なかった」と胸をなで下ろし、「明日からまた気を入れ直して頑張ります」と、最後はすっかりやる気になった。