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ゴルフ日本シリーズJTカップ 2009

ジーブ・ミルカ・シンは「大好きな日本でぜひ1勝を挙げたい」

インドの英雄は、しょっぱなの不運も強い気持ちではねのけた。1番でダブルボギー。残り135ヤードの第2打で、一度は9番アイアンを持った。「だがいや待てよ、今日は寒い。ひとつ大きめで」と、8番アイアンに持ち替えたのが、失敗だった。
大きくグリーンをオーバーした。

しかし即座に息を吹き返す。2番からの連続バーディで弾みをつけると、一気に優勝争いに名を連ねた。

「失敗には必ず理由があるし、悪いことのあとには必ず良いことがある」。
そんな名言も、この男が言うと説得力がある。

クドラ夫人が、待望の第一子を流産したのは昨年の今大会直前だった。
出場のキャンセルも考えた夫の背中を押したのは、ほかでもない妻だった。

「亡くなった子のためにもゴルフをしてきて」。
その言葉を支えに2006年に続く大会2勝目。
優勝スピーチで、「この勝利がまた新たなスタートだと伝えたい」とメッセージを贈った妻は、いま妊娠7ヶ月目の安定期に入り来年2月の出産を待つばかりだ。

「今週も、妻とは毎日電話で話をしている」とニヤける夫は、まさに夫婦揃って人生の再スタートを切ったこの大会で、今度は連覇をかけて最終日を迎える。

アメリカ、アジア、ヨーロッパ……。今月15日に38歳を迎える今も、勢力的に大陸を駆け巡るインターナショナルプレーヤーは、今年最後の1戦に第二の故郷でもある日本を選んだ。
今や世界のジーブも出場権のない時代から、腰を落ち着けゼロから這い上がったのが、日本ツアーだった。
「今年はまだどこの国でも未勝利なんです。ぜひ、最後に大好きな日本で勝ちたいね」。
悠然と笑う様子に欧州ツアー3勝の風格が漂った。

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