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日本プロゴルフ選手権 2009
平塚哲二は「勝てればなんでもいい」
警戒して平塚も、ウィンドブレーカーの下に長袖のシャツを着込んだが、「それでも寒かった」と、体力自慢の“鉄人”でさえ、悲鳴をあげる悪天候だった。
おかげで芝はたっぷりと水分を含み、「どこへ行っても常に横風。びっくりするほど球が飛ばなかった」。
518ヤードと距離が長い3番パー4は、ますますタフに。
フェアウェーの真ん中からスプーンを握ったが、それでも届かない。バンカーから寄せた2メートルのパーパットを外してボギーが先行したが、「今日は強烈に難しい中で、よく我慢した」。
イーブンパーの通算4アンダーに踏みとどまって、「今日のプレーは満足してます」。
難コースだが、「アドレスは取りやすい」と、コースとの相性の良さを生かし、また今週は大胆にドライバーとPS以外のクラブをすべて総替えしたことが吉と出て、優勝争いに加わった。
勝てば5年シードのプロ日本一決定戦。
しかし平塚にタイトルへのこだわりはない。
「5年後にはどうなっているか分からない。だって、その頃には落ちぶれてるかもしれんでしょう」と、冗談めかして笑ったが、これぞ男のこだわりだ。
プロならば、毎年成績を残して生き残りたい。1年ごとに、賞金ランキングでシード権を確保していくことこそホンモノだと考えているからだ。
確かに、複数年シードは何かと気が楽かもしれない。
目標にしていた欧州ツアーにも、心おきなく挑めるなどメリットは多いかもしれない。
「でも僕は、自分が賞金シードすら取れなくなった状況で、しがみつきたくはないんですよ。そうなったらスパっとやめたい」。
だから迎える最終日も、狙いは日本タイトルではなく、あくまでも勝負にこだわる。
「僕は勝てれば何でもいい」と貪欲に、ただひとつ懸念を口にした。
今週は大会初日が中止となり、決勝の2ラウンドは14日(日)の朝5時半から1日36ホールで戦うが、平塚の記憶では過去に前日のサスペンデッドの残りを消化した計34ホールが最高だ。
「36は最近やった記憶がない。今日も飲めませんね」。
さすがの酒豪もここは体力温存で、長丁場に挑む。