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コースメンテナンス研修会を実施
“東”は4日に、ブリヂストンオープンの開催コースの千葉県・袖ヶ浦カンツリークラブで。
また“西”は6日に、中日クラウンズの名古屋ゴルフ倶楽部 和合コースが、その会場となった。
東と西の2会場に分けたのは、「そのあたりを境界にして、おおむね気象条件が近しいコースが集まれば、お互いに参考になる意見も、より出て来やすいのではという考えから」とは、JGTOのコースセッティング担当理事の鈴木規夫だ。
トーナメントを行うにあたり、いま世界的に懸念されている異常気象や温暖化現象の影響をもろに受けるのは、言うまでもなく開催コースだ。
異常小雨や多雨、異常高温・多湿、冷夏や日照不足……。
コース管理のみなさんは、先の予測もまったくつかない自然現象を相手に、それこそ本番を迎えてもなお、言いしれぬ苦労を続けられている。
しかし解決しようにも、コースはどこも昨今の経済不況のあおりを受けて、二重苦、三重苦を抱えながらの作業となる。
ほとんどのトーナメントがある程度の回数を重ね、ノウハウを構築されているとはいっても、それゆえの不安、悩みも抱えているはずだ。
しかし、困難に手をこまねいているわけにはいかない。
主催者やゴルフファンは、選手たちが繰り広げるスリリングなゲーム展開を何より楽しみにしている。そして、それらを引き出すのが、よりレベルの高いコースセッティングにほかならないからだ。
「苦難を多く抱えた今こそ、開催コースが心のつながりを持ち、それぞれの情報を持ち寄って打開策を模索し、お互いに成長していく時」(鈴木)と考えたJGTOは、このほど初の研修会を企画したというわけだ。
“東会場”は、その趣旨に賛同した北海道を含む関東近郊の9コースが、また“西”は7コースが参加した。
“西会場”となった和合コースの石川和敏グリーンキーパーは、そうはいっても互いにこの日が初対面。「今日はとりあえず、自己紹介程度の会話で終るのだろう」と、タカをくくっていた。
しかし視察ラウンドのあと、いざ懇親会が始まると次々と意見が出てくる。
春先のコースで、緑の芝を作るために上からタネを蒔く、オーバーシードの際の悩み。
芝の病気が出た際の対処方法。
コース改修時の問題点、等々・・・。
中でも石川さんを初め、一同が大きく頷いたのは、コカ・コーラ東海クラシックの三好カントリー倶楽部の長谷川俊成・グリーンキーパーのこの言葉だった。
「今こそ、芝の生理に基づいたコース管理をしていけばいいのではないでしょうか」。
同大会が開催される9月初旬は芝の生育にとっても最も過酷な時期で、そんな数々の苦労を乗り越えてこられた長谷川さんの口から出た言葉だからこそ、参加者の心にいっそう重く響いたようだった。
「みなさんが出して下さったご意見や悩みは以前から、僕も疑問に思っていたことばかり。共感出来ることもたくさんあり、悩んでいたのは自分たちだけではなかったのだ、と…。そう思えただけでも今回の収穫はあった。今日1日みなさんと一緒に過ごしたことで、同じ芝を扱う者同士の仲間意識みたいなものが、確かに生まれたと思う」とは、石川さん。
またこの研修会で、たまたま石川さんと同組で回ったマイナビABCチャンピオンシップのABCゴルフ倶楽部の沖芳典グリーンキーパーは、昨年大会でマスターズに匹敵するグリーンと選手たちから大絶賛を受けながらも、ツアー仕様のセッティングと通常営業時とのジレンマに悩んでいるようだった。
「でも今回の研修会でうちのコースを視察したことで、自分も頑張ろうという気持ちになってくれたのなら嬉しい。(グリーン)キーパー同士、こうして顔を合わせたことで、次からお互いのトーナメント中継を見るのも楽しくなります。“あ、あのときの彼が、ここまで頑張ったんだな”という気持ちで観戦できますからね!」と語る石川さんの声も、心なしか弾んでいた。
そして、そんな会の最後は和合の木田充紀・支配人が力強くこう締めた。
「それぞれにやるべきことは尽きないと思いますが、これを機会に力を合わせ、ともに前へ前へと進んで行きましょう!」。
2009年のジャパンゴルフツアーの幕開けはもう少し先になるが、“縁の下の力持ち”の闘いはすでに始まっているのだ……!!