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ブリヂストンオープン 2000

佐藤信人は「今日は朝からすごい気楽だった」と…

ゲームのクライマックスは、今季の佐藤を象徴するようだった。
通算15アンダーで、宮本勝昌と並んで迎えた18番パー5。
「100ヤードくらい残して、3打目勝負でいったほうがドキドキしないで割りきれる」と、確実に刻み、フェアウェーから8番アイアンでピン手前6メートル。
ウィニングパットは「シビレも気負いも緊張も何もなかった」という。
「のぼりの薄いフックライン」と冷静に読み切った。

その前の17番パー3では、ティショットをグリーン右に大きくはずし、アプローチも寄せられず、だが8メートルもの長いパーセーブを決めてギャラリーを沸かせたばかりだった。

「なんだか信じられない。最後の大詰めに来て、ぼこぼことあんなに入って…もう言うことはありません」と、本人も思わず絶句。

「最後の2ホールで、入るはずもないようなのが入って…なんかツキすぎて怖いです」と、笑う。

17番の8メートルのパーパットは、出だしきつめのフックライン。
「カップ付近はそんなに切れないように見えた」という。
ちょうど宮本も、先に同じようなところから打っていた。
そのときのボールの転がりを残像として、「自然に手が動いて入ってしまった」と佐藤はいう。

だから18番でも、何の気負いもなかった。
「シビレもなかったので、予感というか『あ、こういうのが入ったりするのかな』と思いながら打ったら本当に入ってしまった」と、どこか人ごとのように振り返った。

今季7度目の最終日最終組。
「最終日は、いつもなんだか楽しいんです」というとおり、インターバルでは、同組の横尾要やキャディと談笑し、終始リラックスムードだった。

「ゲーム展開は緊迫していたけど、今日は、とにかく朝からすごい気楽で、最後のパットまで1回も痺れることがなかった」という。
終始、落ち着き払ったプレーぶりに、大ギャラリーも「さすが賞金王」と思わずうなった。

この日は、宮本と3打差の2位スタート。
2番で80センチ、3番ではOKバーディにつけ3 番、4番の宮本のボギーで逆転。
だが、9番の宮本のイーグルで再び並ばれ、11、12番の連続バーディで再逆転を許したが、それでも「まったく焦りはなかった」という。

「今日は、地元の応援がたくさん来てくれて、その前で最終組でまわれて、いいところも見せられた。だからもう、結果は優勝でも2位でも3位でもどれでもよかった。宮本君が行ってくれたら行ってくれたで構わないと思った。今日はショットも今週で1 番の出来だったし、ショットが曲がって負けたら気分悪いけど、自分のレベルではいいゴルフをしていたんで、相手がバーディ取ろうが何しようが、とても気分がよかったんです」。

2年前、ツアー2勝目をあげたのも、この大会だった。
あのときは、「パットと運だけで勝った。パター意外に何もなかった。勝っても、よけいに不安になった」と、優勝カップを掲げる表情もどこか頼りなげだった。

だが、今回は違う。

ミスらしいミスは、「17番のティショットだけ」だった。2年前、尾崎健夫とのV争いで、左林に打ちこんだ18番も、冷静に、刻みに徹して勝利を呼び込んだ。

「今週もけっしてショットの調子は万全だった、というわけではないけれど、“悪い”のレベルがかなりあがっていて、今回が仮に100点としたら、2年前はその半分の 50点。2年前とはえらい違い」。

千葉県出身。
この大会2勝目で、大きく成長した姿を地元のファンに存分に披露した。

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