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日本オープンゴルフ選手権 2008

上井邦浩「我慢すれば、捕まえられるかも」

最後の最後にご褒美だ。18番。9番アイアンを握った残り123ヤードの第2打は、右からの風と読み、「本当は左のピン狙い。でも実際は、正面からの風に思ったより右に行ってしまって・・・」。ヒヤリとしたのもつかの間だった。

その瞬間、大歓声がとどろいた。
ボールがカップに吸い付いた。
ピンそば80センチは楽々のバーディフィニッシュに「耐えて耐えて・・・やっと最後に報われた感じです!」と、笑顔もこぼれる。

特に難しいホールが続く後半だ。
最難関の14番から立て続けにピンチをしのぎ、それでも17番では緊張からボギーを打った。
それだけに最終ホールのバーディがことのほか胸に染みた。

通算3オーバーは首位と4打差。
今大会は、中部オープン優勝の資格で権利を得た。
ツアーのシード権はおろか、今季は出場権すら持たない選手が日本一を決める舞台で優勝も狙える位置にいる。

フェアウェイが狭く、待ち受けるグリーンは小さく速く、そして平らな面がほとんどない。
海のそばのこのモンスターコースは「以前の自分なら、とっくに切れていたと思う」と上井。
4位タイにつけた前夜は、地元・大阪の実家にいる妻・友香理さんに、「疲れているし、ピリピリしているからいらんことは言わんように」と、伝えた。

「我慢は、結婚生活で覚えました」と笑う。
その友香理さんは来年1月に出産を控え「子供が出来てから、ゴルフが良くなった」とも。

また友香理さんの父は、プロ野球阪神の久保康生チーフ投手コーチで、この日18日からクライマックスシリーズが始まる。
特に「熱い会話」を交わすわけではないが義父の心境を思い、こちらも自然と気合いも入るというものだ。

いかんせん自身初の最終日最終組は、片山晋呉と直接対決。
「緊張すると思う。明日も我慢すれば(片山さんを)捕まえられるかもしれないが、意識すると出来ない。とにかく耐えること」。
すべては忍耐が鍵を握る。

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