記事
清田太一郎2008年はアジアか日本か・・・!?(1月11日)
「もしタニさんが“噛んだ”ときには僕がきっちりフォローします。任せてください!」
「・・・そんなら、最初っから太一郎に任せちゃおうかな?」
「いやいや、それは・・・」と、2つ上の先輩のジョークに苦笑する様子には、新シーズンに挑む自信と余裕がそこはかとなくにじみ出ていた。
2001年の世界アマチュア選手権でベスト8。2002年の全米オープンは、マンデートーナメントから挑戦して本戦出場を果たしたこともある。
数々のアマタイトルを手に、2003年のデビューは宮里優作とプロ同期。
しかし、くっきりと明暗が分かれた。
ルーキーイヤーに初シード入りを果たした宮里に対し、清田は出場権すらままならない年が続いた。
昨年は、出場優先順位を決めるクォリファイングトーナメントのサードステージで失敗。
活躍の場をやむなくアジアンツアーに求めたが、この選択が清田を大きく成長させるきっかけとなった。
毎週のように国境を越える過酷な戦いが、何よりの精神修行となった。
「ゴルフの前に、まずこの場所に溶け込むのが先」と片言の英語を駆使し、積極的にコミュニケーションをはかるなど、孤軍奮闘を続けてきた。
その甲斐あって、初シード入りに成功。
そればかりか、アジアで11連戦の末に挑戦した昨年末のファイナルQTでランク2位。
日本とアジア両ツアーの出場権を手に入れて、「今年はどちらに重きをおくべきか・・・」。
嬉しい悲鳴をあげている。
とりあえず、今季初戦は2月のアジアンツアー「インドネシアオープン」で迎えるとして、悩ましいのは日本ツアーの開幕戦だ。
4月の東建ホームメイトカップと同週に、アジアと欧州共催のボルボチャイナオープンとBMWアジアンオープンがある。ここで好成績を挙げると、活躍の場が一気に広がる。
昨年、欧州ツアーに参戦していた手嶋多一とたまたま会場で一緒になって、話し込んだことがある。
「手嶋さんほどの選手でも、そんなに苦労するものなんだ」と、世界との高い壁を痛感する一方で、強く焦がれる気持ちもある。
たとえば97年に欧州ツアーに参戦、また昨年は欧州シニアで初優勝をあげて、今季再びヨーロッパを主戦場にするとみられている友利勝良の生き方に、男のロマンを感じるという。
「友利さんみたいに出来たら、プロとして凄くカッコいいなあって・・・」。
そんなわけで、今はまだ今季のプランを決めかねている清田だが、「とにもかくにも、遼くんに負けないように頑張ります!」。
前日10日にプロ転向したばかりの16歳に負けじと2008年、清田がわが道を切り拓く。