これも偉大な父親から受け継いだＤＮＡか。中嶋常幸の長男・雅生が日没サスペンデッドとなった第３ラウンドは残り７ホールを残して暫定４位に浮上した。

６位タイからスタートしたこの日は前半インコースの13番で、８メートルのバーディパットを決めて３連続バーディを奪うと、そのあとは、再三のピンチもしのいだ。
16番で４メートルを拾い、18番では第２打を池に入れながら、華麗な水切りショットで切り抜けた。

この日は、早朝から続いた激しい風雨でスタートが約３時間も遅れ、中島には気が気でなかった。
「どうしても、72ホールやりたい」。もしも悪天候のために競技短縮になって、加算賞金がカットされれば、現在賞金ランク94位の中島には死活問題だ。

「絶対に中止は嫌だ」と、そればかりを思ってスタートまでの長い時間を過ごした。
逸る気持ちは前半からしっかりと、スコアに結びつけた。

賞金ランク68位に滑り込んでプロ７年目の初シード入りを果たしたのは昨シーズン。しかし、その年自己ベストの５位タイにつけ、その大きな足がかりとしたマンシングウェアオープンＫＳＢカップが今年、開催が見送られ、頼みの綱を失った。
「オヤジもそうだし、誰にでも必ず毎年良い成績を出せる相性の良い大会というものがあるが、それが僕にはマンシングだった。これがなくなったことが、何より一番痛かった」。

また、初シード入りを機に「変化をクラブに求めた」。思い切って、新しいセッティングにしたことも、逆に災いした。変えた途端に５試合連続の予選落ち。
しかし、元のクラブに戻したら、たちまち調子が戻ってきた。
特に10月のキヤノンオープンからは、ますます上り調子で「もう大丈夫」という確かな手応えがあったという。

今週は、次週の18日に30歳の誕生日を控え、「これが、20代最後の試合」という感慨もある。さらには来月に妻の沙野加（さやか）さんが第二子を出産予定とおめでた続きで、発奮材料はてんこもりだ。

父・常幸が３勝を誇る今大会で、２年連続のシード権の確保どころか、関西オープンの杉原輝雄・敏一に次ぐ親子同一大会Ｖのチャンスに「出来れば優勝して子供を抱きたい」と気合いを入れ直して、翌最終日は３番で３メートルのバーディトライからリスタートする。

• 中嶋 常幸