５年シードがかかったメジャー戦で劇的なツアー初優勝を飾ってから３日があけても、五十嵐は相変わらず戸惑ったままだった。

「実は、まだ実感が沸かないんですよね」と、頭を掻いた。

優勝した翌月曜日は、お祝いの電話や電報の対応に追われた。
今週の日本プロの舞台となる北海道の恵庭カントリー倶楽部は、その日の夜に入るつもりだったがあまりの多さに出そびれた。

「家の中が“笑っていいとも！”みたい。お花だらけになってます」と、バラエティ番組を例に出し、その反響の凄さを表現した。

結局、火曜の朝に会場入りし、選手仲間から祝福の握手を受けて、ようやく少し実感が出てきたが、メジャーチャンピオンとしての自覚はまだ芽生えない。

そして今週も５年シードのメジャー戦。大舞台で２週連続Ｖの快挙がかかるがそんなふうだから、大きなことを言えるわけもない。

「そんなに甘くはないですよ」。
ここ３週間は、タフなセッティングのコースが続き、先週までに体重は71キロから３キロ減。
「あまり弱気なことばっかり言ってるのもまずいなあ、とは思うんですが…今週もタフなコースですから」と、周囲の期待もはぐらかしたが…。