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甲斐慎太郎は子供たちのパワーに触発されて…
校舎から見渡せる瀬戸内の海のように、のびのびと大らかな子供たち。
特にスナッグゴルフのレッスンと、そのあとの昼食をともにした3年生は、学校でも評判の元気揃いだ。
25年ぶりに食べるという給食も、質問攻めにおちおち箸がつけられない。
「なんでプロになったのですか!?」。
「優勝したら、車がもらえるって本当に!?」。
「お金いっぱい、稼いでますか」との質問には、献立のイカフライが思わず口から飛び出しそうになった。
三好先生が「プロゴルファーになりたい人!」と挙手を求めたら、たくさんの子が「ハイ!」「ハイッ!」と、声を上げてくれたとき、はるばる香川まで来た甲斐があったと嬉しかった。
食べ終わるなり、サインをねだって次々とノートや下敷きを差し出す子供たち。
一心にペンを走らせながらふと気がつくと、同じ子が何枚も何枚も紙を差し出していて、「どおりでいつまでも終わらないわけだ」と、内心吹き出した。
そのうち、他学年も教室にやってきて、大サイン会が始まった。
1時間近くペンを走らせ「腱鞘炎になるかと思った」というプロをねぎらって、わざわざみんなで“待機場所”の校長室まで送り届けてくれた。
「楽しいなあ……」と、甲斐。
「こんなに大勢の子供たちと接する機会はなかなかないけど、無邪気で、素直で可愛くて…。ほんとうに楽しい!!」。
今朝、今年120周年を迎えた歴史溢れる小学校の門をくぐったときは、コチコチに緊張していた甲斐も、子供たちの無垢な笑顔に包まれるうちに、すっかり肩の力が抜けていた。
そして、しみじみとつぶやいた。
「今日の出会いをきっかけに、みんながゴルフに興味を持ってくれたら嬉しいなあ。この中からプロゴルファーが誕生してくれたら、なお嬉しい!!」。
きっと、その頃には自分は相当なベテラン選手になっていることだろう。
「まだ、現役で頑張れてるかな。頑張っていたいなあ……!!」。
未来のプロゴルファーたちとの優勝争いを想像するにつけ、甲斐の笑顔もいっそう輝いた。