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キヤノンオープン 2009
久保超路(くぼ ひろみち)が自己ベストの8位タイ
最終日は後半の2番パー5でスプーンで打った残り250ヤードを、左7メートルに2オン。このスライスラインをねじ込んでイーグルを奪うなど「今週は、とにかく流れが良かった」と、声も弾む。
そして「谷口さんのおかげです」と、感謝の言葉も。
前日3日目の第2ラウンド終了後に、たまたま練習場で会った谷口徹に言われた。
「お前はスタンスが広すぎる」。
さっそく意識して、10センチほど歩幅を狭めて構えてみたらがぜん、ショットが切れ出した。プロ12年目にして、自己ベストの8位タイにつながった。
元・競輪選手の父・千代志さんのてほどきで、13歳からゴルフを始めた。
その世界では、知らない人がいないほどの実力者だったが危険を伴うスポーツに、息子には「ゴルフをやれ、と」。
それでも、久保がプロ入りを決意したのは、名門・東北福祉大に入学してからだった。
同期の谷原秀人をはじめ、「大学にはプロよりも上手い人たちが一杯いて、面食らってしまった」。
その中で追いつけ追い越せと競い合ううちに、自分もいつの間にか厳しい道を歩んでいたという。
98年にプロ転向を果たしたが、出場権もままならず、昨年の予選会クォリファイングトーナメント(QT)は3次で失敗。
この週、今季3勝目を飾った池田勇太は大学の7つも後輩だが、「追いかけてやろうなんて、とんでもない」と、首を振る。
「彼と僕では、レベルが違いすぎる」と、久保はいう。
「うんと年下だけど、彼は尊敬に値する凄い選手。少しでも、見習うことが出来れば」と、頭を垂れる。
偉大な後輩と、同じ舞台で戦うために。
まずは、来季の出場権を確保することから始めなくてはならない。
まもなくQTは再挑戦の3次を控え、今回のベストフィニッシュは何よりの自信となる。
チャンスを最大限に生かせたことで、「がぜん、やる気が出て来ました」と、目を輝かせた。