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The Championship by LEXUS 2008
矢野東が10試合連続のトップ10を更新!!
まさにそれだけの価値ある1打。
「あれはほんとうに痺れた」。
外していれば、記録も途切れていた。
カップに沈んだ瞬間、ガクリと膝を折った。
その場にひざまづいたまま、天を仰いだ。
しばらくその姿勢のまま動かなかった
「よっしゃ、よっしゃあ〜!」と、何度も何度もつぶやいた。
興奮はなかなか冷めなかった。
前日3日目は42位まで落ちた。
この日最終日は10番ティからのスタート。
優勝争いとはほとんど関係のない、いわゆる“裏街道”でのラウンドにもかかわらず、大ギャラリーがついて歩いた。
大声援を励みに己を奮い立たせた。
「丸山さんのように、俺も最後まで狙っていく」。
かつて見た、日大の大先輩の気迫のこもったプレー。どんなに首位と差がついていても優勝だけを見ていたものだ。
韓国のS・K・ホが大量リードの今回はさすがに優勝とは言わないまでも、「俺もトップ10入りだけを目指そう」。
目標達成のために、この日はプレースタイルをがらりと変えた。
左ドッグレッグが多いコースでドローボールを封印。
「右の木に当たってもいい。思いきってフェードを打って行く」。
松林でセパレートされた狭いフェアウェイも果敢にドライバーを握り、度重なるピンチも懸命に拾いまくった。
12番ではチップイン。
折り返しの1番では7メートルの長いバーディパットを決めると、目標が現実味を帯びてきた。
4番でグリーン奥からの難しいアプローチは1.5メートルに寄せて執念でねじ込んだ。
最後もパーで締め、祈る思いで競技の終了を待った。
結局8位タイフィニッシュは、これで10試合連続のトップ10入りだ。
資料の残る85年以降に限るなら、ジャンボ尾崎(96年、95年)と、尾崎直道(96年〜97年)に並ぶ大記録(※)。
「これで残り4戦、自信を持って臨める」と、ますます強気。
8連戦は「疲れがピークで、休んでも休んでも足りないけどあとは精神力で。最後までひた走る」。
初の賞金王獲りへ、気合いを入れ直した。
<矢野東のちょっといい話>
大会2日目は、専属キャディの小岸秀行さんと意見が合わず、途中から気まずい空気になったという2人。さらに3日目には後半4ボギーを打って42位と失速したが、最終日を前に仲直りができた。
8日(土)は、ちょうど小岸さんの35回目の誕生日。
ジンジャエールで我慢する矢野を横目に、グラスになみなみとシャンペンをついでお祝いしてもらった小岸さんはすっかりご機嫌。
息もピタリと合った翌日は10試合連続トップ10入りの快挙にみんなから「スーパーキャディ!」と祝福されてますますゴキゲン・・・!
「東さんが最高の形でお祝いしてくれました!」と、大喜びだった。
残り4戦も息の合った二人三脚で賞金王を狙う!!
※資料が残る1985年以降の出場試合連続トップ10入り記録(海外招待選手をのぞく)は・・・!?
尾崎将司 14回(1997年〜1988年)
尾崎将司 10回(1986年)
尾崎将司 10回(1995年)
尾崎直道 10回(1996年〜1997年)
矢野東 10回(2008年) 継続中
青木功 9回(1986年)
尾崎将司 9回(1996年)
Dイシイ 8回(1988年)
尾崎将司 8回(1991年)
尾崎将司 8回(1994年〜1995年)
佐藤信人 8回(2000年)
谷口徹 8回(2000年〜2001年)