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日本オープンゴルフ選手権 2010
同組対決の石川遼と松山英樹くんが、揃って4位タイ
ボールはカップを覗きながら、ギリギリ縁で止まった。大歓声を浴びながら少しはにかんでグリーンに上がり、タップインのバーディを沈めた。
「ホールインワンになっていてくれたら・・・という心残りが次に影響してしまった」と、次の17番でティショットを左に曲げたところは18歳らしいが、2メートルのボギーパットをしっかり決めて、かたわらの石川も感心しきりだ。
「本当に隙のないゴルフ。英樹はアマチュアだけど、僕はアマチュアと思ってプレーしてない。上手いとか、強いという言葉では片づけられない。ドライバーの安定感や、アプローチのうまさなど、いい物を見せてもらった。自分も頑張らなきゃと、英樹に引っ張ってもらって良いプレーが出来た」と、同級生のプレーを自らの励みとした。
10番、11番で連続ボギーを打って、「日本オープンのセッティングに負けているのかな・・・」と、石川が萎えかけた心を奮い立たせるきっかけも、松山だった。
「お互いに燃えた」と、石川も一時はオーバーパーまでスコアを落とす展開から、起死回生の4バーディを奪い返した。
16番は、319ヤードのパー4で、手前4メートルにのせて、圧巻のワンオンバーディ。松山くんが、ボギーを打った17番では、奧のカラーから7メートルのバーディパットをねじ込んで、ギャラリーの歓声を奪い返した。
中3以来という同組対決。それぞれの道を歩み、互いに成長をとげていま、同スコアで並んだ。
スタートから鈴なりのギャラリーは、もはや石川には見慣れた光景だが、松山くんにとっては、プレッシャーに違いない。
石川も「プロの舞台に立って、英樹は果たしてどうなるんだろう」と、横目でうかがった。松山くんも、「緊張する」と口では言いながら、しかしそんな素振りは微塵も見せず、石川にも負けない豪快なティショットは真っ直ぐにフェアウェイを捉えた。
「英樹はジュニア時代からポーカーフェイスだけれど、どんなに大きな舞台でもそれが貫かれている。いつでも冷静で、今日も“アマチュアらしい”プレーはひとつもなかったですから」と、褒めちぎる。
松山は松山で、石川に脱帽だ。この日はもうひとり、同組の飛ばし屋ブレンダン・ジョーンズと、揃って力の差を見せつけられた。
「自分には2人に比べて飛距離も足りない。ティショットの精度も、アプローチの技術も少なすぎる」と、唇を噛む。そして一番は、「遼の真剣さ。1打1打、またプレーとプレーの合間にも、上手くなりたいという姿勢が見えた。僕ももっと、そうなっていかないといけないと思った」と、いっそう気が引き締まる。
「同級生だけれど、負けたくはないけれど、相手は賞金王。まだまだ遼に学ばなければいけないところはいっぱいある。僕は明日はまずは、予選通過が目標です。それがないと、ローアマも見えてこない」と、どこまでも謙虚な松山くんに、石川は「英樹は優勝争いする力も十分に備わっている」。
1927年は、第1回大会の赤星六郎氏以来となるアマチュア優勝の快挙が達成される可能性もあることを、示唆した。