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ブリヂストンオープン 1999
昨年度チャンピオン 佐藤信人
でも、自分があんなだいそれたことをするなんて…運がよかったんですね。すごく嬉しい。1勝目のときより何倍も嬉しい。1勝目はなんとなく勝ったという感じだった。でも、ずっと『本当の強さは、2勝目をしてはじめてホンモノなんだ』と思っていたから、この優勝は、よけいに嬉しいものでした」―― 昨年度チャンピオン 佐藤信人(98年の優勝コメントから)
最終日、5年7ヶ月ぶりの復活Vをかけ、尾崎健夫は2位の佐藤信人と2打差の通算13アンダーでスタートしていった。
だが、いきなり1番パー4で3パットのボギー。2番パー5では、10メートルのイーグルパットも3パットし、不吉な出足となった。
「グリーンの速さが読めなかった。この2つの3パットはショックだった」尾崎はがっくりと肩を落した。
対する佐藤も、出足でボギーを叩きつまづいたものの、「優勝の気負いはなかった。ただ目の前の仕事をやることだけ考えていた」と、プレーに集中。尾崎がボギーとした11番でバーディを取り返し、1打差で迎えた18番、パー5。
「自分があんなだいそれたことをするなんて…」と、自身をも震撼させたピンまで6メートルのバーディパット。
これを沈めてプレーオフへと持ちこんだ。
その1ホール目。流れは佐藤に来ていた。
「3打目勝負」と刻んで、ピン上3メートルに3オン。このバーディパットをよどみのないストロークで決めて、佐藤はツアー通算2勝目を飾ったのだった。
結果的には、18番ホールの“2つのパット”が、佐藤を勝利へと導いた。
敗れた尾崎健夫は、あとでこう語っている。
「いまの若い子はパットがうまい。オレたちにはない、いいものいっぱい持っているんだ。それ以上のものを持てない限り、オレたちは消えていくしかないんだよ…」。
今年、尾崎は雪辱を果せるだろうか。
それとも、また、新世代のチャンピオンが生まれるのか。
袖ヶ浦で、また新しい歴史が刻まれる。