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全英オープン最終日 石川遼「試合を通して成長できた」
予選ラウンドではトム・ワトソンと同組で回り、2日目の18番では全英5勝のトム・ワトソンがセントアンドリュースに別れを告げる場面に立ち会え、その感動的なシーンに感極まり涙した。
「ゴルフ人生におけるターニングポイント」となったあの日は、これからどんなに時が過ぎようとも2010年セントアンドリュースを忘れる事はない。
そして、自分のゴルフでは「4日間これだけ安定するとは思ってなかった。文句のつけようがない」というショットの良さ。
1ラウンドで2〜3回しかないというミスショットを除くと、全てはイメージ通りに打てている。
「これだけ出来るという事は、自分の限界が広がった」と4日間終わってみて、初めて自分の成長と上達を肌で感じた。
ショットの好調のヒントは、先週に出場した『スコティッシュオープン』で掴んだ。
予選を共にしたフィル・ミケルソンとカミロ・ビジェガス。
特に、ビジェガスは強いアゲンストの風でも、高いティアップから豪快にいつも通りの弾道で、フェアウェイに飛ばしていく。
世界の一流プレーヤーのショットを間近で見て、「ボールを自由に扱えるのはタイガー・ウッズ。ものすごい練習量と精神力と体のバランスだと思う。ただ、風によって弾道を打ち分けるのは、今の僕には難しい。どうせ打つならノーマルなショットが一番良いというシンプルな考え方。」と、全英オープン直前に学んだ教訓だった。
ゴルフの聖地での最終日のプレーは、「伸ばせなくても落とさなければ良いのではなく、スコアを伸ばさないと駄目だという意識」で1番・2番と連続バーディを取って波にのった。
毎日ボギーで、「5年後の為に」攻略法を見出したかった13番も初のパーセーブ。
フェアウェイは狭いものの、ドライバーで340ヤード地点まで飛ばし、「自然体でプレーできた。最終日にやっと分かった。」と笑顔を見せた。
最終ホールの18番も、石川らしく4日連続のバーディフィニッシュで、今年の全英オープンはトータル2アンダーの27位タイで戦い抜いた。
日本に戻ってからの課題は、「プロになって優先順位が下がってしまっている。今日は必要性を思い知らされた」というショートゲーム。
「アプローチやパットでしのいでパーを取るゴルフが必要。今のままだとスコアを崩してしまう。僕の中では、そういうゴルフは粘りのない部類に入る。集中して練習したい。」とショットの良さに頼ったことに反省しきりだ。
日本に戻ってすぐに北海道に移動し2試合戦い、また『全米プロゴルフ選手権』に向けて渡米する。
「日本のツアーも楽しみ。高い気持ちを持って、精神力を磨きたい」と、若い石川遼はこの体験を血と変え、肉と変えていく。