快挙の瞬間を待っていたかのように、御殿場に雨が降り出した。
2、3勝目に続いて尾崎将司や中嶋常幸らを抜く単独の大会最多勝利も雨。
谷原、河本と通算10アンダーで並んで迎えた最後18番で20センチのバーディパットを決めると大きく両手を広げて、天然の水シャワーを受け止めた。
「小学生のころからあこがれていた舞台。大会の雰囲気作り、世界感のすべてが素敵」と、ほれ込む富士のふもとの得意コースで史上12人目の通算20勝目に到達した。
6月の選手会主催大会「JAPAN PLAYERS CHAMPIONSHIP by サトウ食品」に続く今季2勝目を、大会アンバサダーをつとめるホストVで飾った。
「サポートしていただいている大会で頑張りたいなという気持ちがあったが、自分のゴルフにて徹するしかない、と思っていた。まだ信じられない気持ちです」と、喜んだ。
コース改修前と、2017年以降のパー70への改修後とで2勝ずつ。
「それまでのイメージがあって、改修後は苦しめられましたけど、難しくも毎年やりがいを感じる。課題を与えてくれる大会ですし、幸せ者だと思います」と、噛み締めた。
1差の2位から出て、5バーディ、2ボギーの「67」で逆転。出場16回目で「今までと違ったマネジメントで優勝できた」と、4勝目の収穫を語る。
2018年から長いパー4に変わり、難易度が上がった6番は「毎年、どういうったティショットが一番安全かを考えていて。左の林には行きたくない。ただ右も林なので。ドライバーを直接、ティーグランドに置いて」と、直ドラショットを選択してパーセーブ。
「コースは好きですけど、6番とか9番も。気持ち悪いホールは必ずあるのでそこは完全に攻略できたかな」。
ホールインワンと見まがう快打で沸かせた7番のパー3から、前半上りの3ホールで3連続バーディを奪い、2打差をつけてハーフターン、
後半11、13番ではボギーを叩いた。
谷原に、1打リードを許したまま17番のパー3に入った。
ティショットを手前5メートルのチャンスにつけたが、その直後に谷原が、18番でボギーを叩いたことを知った。
「がっついた」と、バーディパットは1.5メートルもオーバーさせた。
「あんなタッチで打つつもりはなかったんで。そういった状況で自分が左右されたんだな、と。あ、出た出た、となって。まだまだだな」などと、薄氷のパーセーブを猛省。
「でも、あそこで何も知らないで18番で知ったとしたら、18番のパッティングでがっつく自分の癖が出たかもしれないので。17番のパットがあったから、もっと緊張している状況で、優しくソフトに打てた。あの極限で打った中では100点のパット」。
残り230ヤードから3番ユーティリティで、ピン8メートルに乗せた最終ホールのイーグルトライはジャストタッチで、2パットのバーディで収めた。
「最後まであきらめず、すごくいいゴルフができた。最後の最後にチャンスがきたので、我慢していて良かったな、と思います」。
仲間たちの手で改めて盛大に水浴びした。