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五十嵐雄二が世界に挑戦
同選手権のV特典として権利を獲得したものだが開幕を目前に、本人にも周囲にも不安な材料がひとつある。
プロ転向から17年というもの、出場権を得るのもやっとだった“QT組”が、いきなり5年シードのタイトル奪取で、周囲の度肝を抜いたのもつかの間だった。
そのあと、日本ツアーは4試合ですべて予選落ちが続いてる。
渡米直前の先週のサン・クロレラ クラシックも、2打足りずに決勝ラウンドに進めず、苦笑いで打ち明けた。
「うちの次男が、オヤジ大丈夫かよ、って…」。
心配するのも無理はない。海外メジャーはおろか、米ツアーすら初めての経験。
しかも、国内で奮わないままの参戦では「優勝して気が抜けてんじゃないの?」と息子に突っ込まれても、反論出来ない。
「やばいよね。そろそろまたいいところ見せないとね」。
幸い、そんな中でもショットの調子は徐々に上向きで、「これなら」と思える状態まで回復してきた。
今回の渡米には妻の美代子さんといつも手厳しい次男の輝くん、そして、初Vをアシストしてくれた幼なじみの榎本睦さんを連れていく。一度は“引退宣言”した大親友を、大舞台で再びキャディに起用して挑む。
「2人で世界の一流どころを見られるのを楽しみにしてるんです。やるだけはやって、必ず何かを掴んで帰ってきたい」。
不安はひとまず振り払い、かわりに期待を胸にいっぱい詰め込んで旅立った。