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日本オープンゴルフ選手権 2010

クリス・キャンベルは「勝てたら嬉しい」

この人は、胃がきりきりと痛くなるような難セッティングにも、表情ひとつ変えない。逆にバーディを取っても、大袈裟に喜ぶわけでもないし、ピンチにも平然と対峙している。

「ウッズみたいに怒ったり、笑ったり、大きく感情を表現しながらプレーするのもいいけど僕はダメなんです。バーディを取ったあとさえ、喜びすぎると、次のプレーに差し支える。僕だって怒ったりすることもあるけれど、感情を出すと、余計に気持ちの切り替えがきかなくなる。常にフラットに近い状態でプレーするのが僕のやり方なんです」と、キャンベルは言う。

この日初日はボギーなしの67は、類い稀なる平常心のたまものか。

「今日はアプローチが非常に良かったですね」というとおり、チャンスもピンチもすべて1パット圏内に収めて、危なげなく単独3位につけながら、「この狭いフェアウェイじゃあねえ・・・」と苦笑した。

「今日、最初にようやくフェアウェイを捉えたのは9番ですよ! そのあとも4ホールしか、フェアウェイに打てなかったけれど、それでもこうして上位に行ける。上出来ですね」と、微笑んだ。

いつも柔らかな微笑みからは想像もつかないが、2006年に顔に出来た皮膚ガンの手術から、よみがえってきたタフガイは2005年のミズノオープン以来の2勝目に向けて虎視眈々。

「いえいえ、まだあと3ラウンドもありますから」と、首を振りつつ、「日本一を決めるこの大会で、勝てたらきっと嬉しいでしょうねえ」と、その瞬間に思いを馳せて、気持ちを奮い立たせていた。

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