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マイナビABCチャンピオンシップ 2008

破れた深堀圭一郎は17歳に脱帽・・・

初めてプレーを間近で見たのは1年前だ。当時、15歳の石川がマンシングウェアオープンKSBカップで史上最年少優勝をあげ、その後のツアー初戦となったフジサンケイクラシック。
予選ラウンドを同組で回った。

そして今年5月の中日クラウンズ。
「あのときの遼くんにはまだ、甘さというか隙があった」と、深堀は振り返る。

しかしこの週は予選2日と、最終日・最終組で争って「確実に成長している」。
何よりショットが曲がらない。
「どうして、と尋ねたら、とにかく練習した、と・・・」。

17歳と1ヶ月15日は、プロとしてもツアー最年少優勝記録だ。
プロ転向後、1年もたたないうちの快挙達成には誰もがおののくが、深堀は冷静に分析した。
「彼を17歳という年齢でくくるべきではない」。

野球界で言えば、桑田真澄選手や清原和博さん。
「ドラフト後、すぐに活躍できる。超・高校級。遼くんも、そういう選手だということです」。
この日の大接戦で痛感した。
40歳のベテランにとってももはや、単に後輩の高校生プロではなく「遼くんはライバルなんです」。

そして「ゴルフ界の宝」でもある。

それほどの選手を相手に、ショットの不振を抱えながら戦うには限界があった。
右の林のさらに奥の、カート道の側溝にティショットを打ち込んだ15番。
木と木のわずかな隙間を抜いて、フェアウェイを捉えるなど再三、曲げながらも「それ以外のもので勝負でする」との言葉どおり、懸命に堪えてきた深堀だったが「駆け引きをしながらこのグリーンでは、勝てない」。

マスターズ並と言われる高速グリーンで「流れをつかむパットを決められなかった」。
そしていよいよ16番で、1メートルのパーパットを外して首位を譲った。
18番で7メートルのバーディパットをねじ込み最後の意地を見せたが、石川の勢いには勝てなかった。

「遼くんは、崩れそうになってもいいパーパットを入れ続けた。この高速グリーンであれだけ入れるとは・・・。あれがあったからこそ15番、16番のバーディパットにつながった。実力を証明した優勝だった。勝つに値するゴルフを彼はした」。

感嘆の思いがホールアウト後のこの言葉になった。
「遼くんは実力で勝った。自信を持っていいんだよ」。
率直な気持ちを本人にも伝えた。

そして自分自身には「負けて悔しいけれど今季のベストフィニッシュ」。
単独2位に「ようやく同じフィールドに戻ってきた感じ」と、真摯な気持ちで残りシーズンを戦い抜く。同時に「また遼くんと一緒に回りたい」と、リベンジを胸に誓っていた。

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