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アイフルカップ 1999
アイフルカップ、優勝は伊沢利光
1番、526ヤードのロングホール。伊沢利光は、残り195ヤードの第2打を、ピンまで 10メートルのグリーンカラーに落すと、それをパターで、勢いよく沈めた。いきなりのイーグル発進で通算12アンダーとし、首位に。ド派手なスタートセレモニーだった。
伊沢「まさか入るなんてね〜。フォロー風に押されて、どんどん行っちゃって、入っちゃいました。けっこう勢いがよかったんで、入ってなかったら、ワンピン以上はオーバーしてたかもしれない。ラッキーでしたよ。でもそれで勝てるとは思わなかったですよ。それより、インコース入ってからの上がりホールがどれだけしのげるかを考えていましたね」
3番のロングで、第3打を2メートルにつけてバーディとしたあとは7番まで危なげないゴルフ。が、8番で、ピンチが訪れる。第2打が、グリーン右側の小高い丘で、しかも深いラフに飛びこんだ。第3打は、わずか5メートルほどしか飛ばずにグリーンをショート。今度は、もっと深くうねったラフで、アドレスで足がバンカーにかかるライだ。
これを伊沢は、ピン奥2メートル半につけ、慎重にパーで収めた。
「パーパットは、入るときは入るし、入らないときは入らないという気楽な気持ちで打ちましたね。まあ、あれがきょうの勝因といえば勝因かもしれないけれど、でも、やっぱり17番と18番の、2メートルのパーパットを入れたのが1 番の勝因かな」
1番ロングのイーグルで追い抜いたはずの谷口は、2番、4番、5番でバーディを取り、通算13アンダー。再び伊沢を逆転していた。
ハーフターンで、伊沢はクラブハウス前のスコアボードにチラっと目をやった。伊沢の表情は変わらない。
「あと半分あるし、これからかなってのんびり考えましたよ。焦ってもしかたないですしね。きょうの風ではなかなかバーディ取れないだろうなっていう気持ちがあったし、自分は、我慢しながらプレーすればいいやって思ったんです。
出だしで3つ取れてたことも、気楽になれましたしね」
13番ミドルは、グリーン右のカラーから。ピンまで6メートルをサンドウェッジでチップインバーディ。そして、15番ロングでもバーディを奪うと、谷口に2打差をつけて、あがりホールになだれ込む。17、18番で、嫌な距離のパーパットを決めて、伊沢は思わずガッツポーズ。そして、多分ウィニングボールになるであろう球を、観客席に投げ込んだ。
それは折しも、最終組の谷口がちょうど16番ショートホールでわずか80センチのチャンスパットをはずしてパーとして、17番にむかうころだった。
「2打差は、あってないようなものだし、あのガッツポーズは、けっして、これでもう勝った!という実感から出たものではなくて、きょう、自分のやろうとしていることが9割がたできた、という喜びから出たものなんです。きょうはいままでの勝った中で、最高の形でプレーができた。ずっと、こういう形で優勝したいと思ってきた勝ち方ができたような気がしたから」
追いすがる谷口は、18番でバーディを奪ったが、1打及ばず伊沢の勝利が決まった。
★伊沢利光のはなし
「これまで、なんか悪い状況に陥るとすぐにいいわけして、あきらめちゃったしてたんですね。でも、(尊敬している)ジャンボさんに、悪い状況になってもあきらめないゴルフをすることが大切なんだって言われて以来、その大切さを実感しているんです。
今年は、6月くらいまでに絶対1勝しようと決めてたんです。今回はまだ、7月まんなかくらいなんで、イメージどおりということにしましょう(笑)。
いまはゴルフの状態も非常にいいので、次の勝利に向かってこれからも、一生懸命プレーしていきたいと思います」