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三菱ダイヤモンドカップゴルフ 2008

甲斐慎太郎、遅れてきた大器が

日体大4年時に「日本アマ」と「日本学生」を制したのをきっかけに、自信をつけてプロ転向。将来を大いに期待されたが、甘くはなかった。

初めは主催者推薦でチャンスを伺ったが「自分で取ったのではない権利で出ていることで、かなりの遠慮があった」。
父親の手ほどきでゴルフを始めたが、デビューするなりプロコーチに師事したことも逆に災いした。

「自分の力を発揮する前に、フェースの向きとか、クラブの高さとか…ラウンド中にも、いろいろ分析してしまって。頭の中でゴルフをしたことでコースに出ても、失敗ばかりを気にした。不安でしょうがなくなった」という。

本当に大切なのは「親父がいつも言っていたスイングのリズムとか、ボールの位置だとか、そんな他愛もないことだったのに」。
レベルアップを目指したはずが、かえって自分のゴルフを見失った。

昨年は、ファイナルQTのランク17位で自身初の本格参戦。
「自分でも、今度こそやれる」と胸に期するものがあり、大学3年から交際を続けてきた智香さんと結婚。
しかし結局、賞金ランクは107位と振るわなかった。
そのかたわらで同期の藤島豊和や、後輩の松村道央が次々と結果を出して気合いが入った。
特に、同じ九州出身の藤島の強さは、高校時代から知っている。
「ジュニア時代には僕よりもいっぱいタイトルを取って、一目置く選手」。
それでも、実力にはさほど差がないはずだ。
「負けたくない」と、火がついた。
「俺にも出来るはずだ」と、そう思えた。
同時に、ファイナルQTランク20位の資格で再び出場権を手にした今季は、「家族のためにも、これ以上、夢ばかり追えない。今年ダメだったら別の道を考えよう」と、背水の陣をしいていた。

しかし、それも先のパインバレー北京オープンで単独2位につけて首をつないだ。
現在、賞金ランク11位は初シード入りもほぼ手中に収め、遅れてきた大器はさらなる上昇を狙う。

前半の7番でこの日4つめのバーディを奪い、「ドキドキしてしまって」9番でセカンドOB。
ダブルボギーにも、「毎日どこかで打ってるから」と即座に気持ちを切り替えて、後半に3つのバーディで取り返した。

首位と2打差の4位タイに「チャンスは生かしてこそチャンスという。明日は、歯を食いしばって持てる力を出し切る」と、強く誓った。

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