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青木功がエージシュートを達成(ザ・レジェンド・チャリティプロアマ)

最終9番もバーディ締めで、やんやの声援を浴びて感無量
70歳が、最後も悠々のバーディフィニッシュ。最終9番は、105ヤードの3打目を、アプローチウェッジでチャンスにつけた。4メートルの下りのスライスラインは「2パットでも69」。チャンスホールのパー5で平凡なパーでも悲願成就とあらば「気持ちに余裕があった」という。

ど真ん中から決めた。68は、実行委員をつとめる「自分の大会」で、開催前から言っていた。
「どうせやるなら60台」。
年齢と同じか、それより下のスコアで回る“エージシュート”はパー72のここ、千葉県の麻倉ゴルフ倶楽部なら、2アンダーの「70」で上がれば御の字だが、世界のアオキはそんな小さな目標設定では満足しない。

ついさきごろ、ライバルが成し遂げた金字塔のこともある。
レギュラーツアーのつるやオープンで、初日に年齢を4つも下回る62で回ってきたジャンボ尾崎。
今回、シニア勢はアマチュアと同じレギュラーティを使ってのラウンドだ。総距離もバックティから打つレギュラー陣の6956ヤードに対して、我々シニアは500ヤードほど短い6489ヤードでのプレーとあらば、なおさら自分に甘くは出来ない。

河村隆一さんと、和気藹々のラウンドの中にも、ぴりっとしたムードが漂う。
出だしの10番で、バンカー目玉。ボギーの出だしも、吹き飛ばす。
「若いときは、ボギーのひとつやふたつも、あとでバーディ取ればいいや、と思えた。今日はそんなゴルフができたと思う」と、若々しいプレーですぐ次の11番では2メートルのチャンスを逃さなかった。
12番では、15メートルをねじ込んだ。

オフはトレーニングにしても、ゴルフにしても、「いつも年を忘れて頑張っちゃう」。そのせいで、シーズンインと同時に腰を痛めたり、それで歯がみをしてきたここ数年だったが反省から今年は、ペースを落としてじっくりとやれた。

その成果が確かに出ていると、今回のラウンドで感じられればなおさら「ショットもパットもかみ合ってきた」と、相乗効果で、ぐいぐいとスコアを伸ばした。
後半の4番で、4メートルを沈めて、その時点で5アンダー。
「ゴルフが良いと、もっともっとと攻めちゃう」と、苦笑いで6番からたちまち連続ボギーも、何の支障もでなかった。年齢を2つも縮める68は、9バーディ5ボギー。

「5ボギーは余計だ!」と、そこは周囲を一蹴すると「9バーディって・・・俺より一杯取ってるじゃん!」と、連覇を達成した池田勇太にも、ひと泡吹かせばなおご機嫌。

ホールアウトするなり、口々に祝福を受けて、照れた。「おめでとうは、要らないよ」。でも、愛妻からのご褒美は別。チエ夫人に歓喜の抱擁をうけて、迷わずほっぺにチューのお返しだ。

自らが、ホスト役をつとめるチャリティトーナメントで「有限実行。それが嬉しい」としみじみと言った。2010年以来、大会としては2度目のエージシュート(※)で、またひとつ伝説を作れた。

「それも、こうして大会を5回も続けてこられたこそ。そういう場所があればこそ。大会がなければ出来ないのだらか」と、そう思えばこのチャリティトーナメントの趣旨に賛同して、骨身を惜しまず協力をしてくださるスポンサーの方々や毎年、出場を快諾してくれるアマチュアのみなさん、また後輩プロたちには、感謝の気持ちを禁じ得ない。

「みんなには、本当にありがとうと言いたい」と、世界のアオキの声もうわずる。「またトレーニングを頑張ろう」とのやる気も出て来る。「焦らず、慌てず、諦めず。ゴルフ人生を楽しみたい」との欲も出てくる。

一緒に大会をスタートさせた大親友の日野皓正さん。「来年は、3日間競技にしてみよう」と言い出した。「それでね、そのうち1日は昨日のあれを本格的にやるの! 面白いよ〜!」。

日野さんが言う“あれ”とは、前日初日に開催された。プロゴルファーの奥様方が、旦那をキャディに腕を競う。名付けて「第1回ワイヴスコンペ」。確かに青木にも、予想以上に面白かった。同時に悲鳴をあげた。「こら、いい加減なこと言うんじゃないよ!」と日野さんをたしなめた。「それじゃ俺たちがくたびれちゃう!!」。

第1ラウンドの競技終了後に休憩も取る暇もなく、大雨の中を青木もチエ夫人のキャディバッグを担いで歩いた。「ただでさえ、お母ちゃんに気を遣ってんのに、その上ゴルフでも、これ以上気を遣えってのかよ!」と、日野さんの提案には思わず口をとがらせたが、今年は5度目の記念大会を機に、さらに趣向を凝らしてまた新たな“伝説”を作っていこうとする考えには賛成だ。

「それじゃあ来年までに、僕と息子とでヒップホップ系の大会テーマソングを作るよ」と、日野さん。世界的なジャズトランペッターの着想も悪くない。「毎年、大会を楽しみにしてくれている人の期待に応えていきたいんだ」。今年は、自身の“快挙達成”で最高の“演出”が実現した。そのことに、味をしめて来年も“プロデューサー青木”の腕が鳴る。

※青木のエージシュート全記録
2007年 日本シニアオープン最終日 65(65歳)優勝
2008年 鬼ノ城シニア最終日 66(66歳)優勝
2010年 ザ・レジェンド・チャリティプロアマ最終日 66(67歳)
2011年 コマツオープン初日 69(69歳)
2013年 ザ・レジェンド・チャリティプロアマ最終日 68(70歳)

  • そして愛妻の抱擁に感激のチュー
  • 著名人の部門で連覇を飾った中井さんと肩を組み・・・。自らもエージシュートで大会に花を添えることが出来て嬉しかった
  • 表彰式の前に演奏される日野さんのトランペットは毎年、心にしみる
  • 池田と青木とチエ夫人と日野さん。大会が成功裏に終わったことに、なにより感激のレジェンドたち

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