８番アイアンでのティショットは打った瞬間、つい「100万円!!」と、叫んでいた。まだ結果も見ないうちから受賞を確信したくらい、会心の当たりだった。
もともとフェードヒッターは、右からのアゲンストにあえて左を向いてアドレスを取り、風に思い切りぶつけていった。

と計算どおり、みるみるピンに向かって飛んで行く。手前４メートルでバウンドしたボールはそのままラインに乗った。同組の谷口拓也が感心しきりで祝福した。
「ヒョンテが言ったとおり。本当に100万円になったよね!!」。

美味しい１打は158ヤードの７番パー３だった。ホールインワン賞は、日本カルミック提供の100万円獲得に、一部始終を見ていた愛妻のヒーチンさんが、夫に向かって嬉しそうに叫ぶ。

「来週から、“アイ・ラブ・ホッカイドウ”のロゴを胸につけて戦えば!?」。

というのも昨年は、ちょうど今大会の翌週に、やはり北海道で行われている「サン・クロレラ クラシック」で最多バーディ賞の200万円を獲得している。

「いつも大きな賞に当たるので。北海道は相性が良いみたい」と得意満面。
「彼女にも、良いプレゼントが出来ました」と言ってヒーチンさんと、「今日はこれから千歳のアウトレットに行こうか」などと、楽しい計画でさざめき合っていたおしどり夫婦は、ふと揃って我に返った。

「…次こそ優勝を、プレゼントしなくちゃですね！」。
うんうん、と満面笑みでうなずく妻。
シード２年目の33歳だが、ツアー初優勝はまだ。
今大会でツアー通算４勝目を飾った９つ下の母国の後輩に、負けたままではいられない。

• 谷口 拓也