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関西オープンゴルフ選手権競技 2010

武藤俊憲は「もう、心配かけちゃいけない」

すでにツアー3勝の実力者はしかし、地元群馬に帰るたびに、心苦しかった。所属コースの社長や、師匠がポツリと言う。
「武藤くんが、上位にいないとツアーを見ても面白くないよ」。

もはやシードの常連は、常に上位争いをしてもおかしくない存在として、認知されつつある。「それはそれで、自分でも成長を感じて嬉しいのですが、期待に応えられないのは苦しい。もう、心配かけちゃいけない、と」。

先週までのオープンウィークは、家族と地元の草津温泉で心身ともに癒されながらも、そんな思いを強くした2週間だったが、今季は序盤から恩人をやきもきさせてきた原因も、もはや解明されつつある。

確信したのは、先のサン・クロレラ クラシックだった。専属キャディの小田亨さんと意見が一致した。「ボールだね・・・・・・」。
今季から、使用しているニューボールは性能バツグン。飛距離も申し分ない。開幕戦では、2008年のドライビング王の津曲泰弦を常に、10ヤード前後も追い越したほど。
グリーン回りの寄せも、絶妙なタッチが出せる。

ただひとつ、惜しむらくはセカンドの距離感だった。
今年から、ウェッジの溝規制が始まったことも影響して、スピンコントロールが効かない。「今まで染みついた感覚が抜けなくて、グリーンのはるか先まで飛んでしまうんです」。

それでも懸命に試行錯誤を続けてきたが、シーズンは中盤にさしかかり、「苦渋の決断を下した」という。
メーカーに無理をお願いして、昨年の在庫を出してもらうことにした。
アイアンショットの精度は、何より武藤の最大の長所だ。
「自分の武器で勝負しないと始まらない、と痛感したんです。前のボールなら、スピン量も増やせる」。グリーンに止まるショットが打てる。
持ち味を、取り戻して4位タイ発進した。

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