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初日は引き分け!!
連覇を狙う欧州に対して、アジアは2勝2敗。
早々に、肩を落としてクラブハウスに引き上げてきたのは4つめの最終マッチだった。ジーブ・ミルカ・シンの腰痛は、思った以上に深刻だった。
ティアップのために、中腰も出来ない。思い切り振り切れない。スタートの1番で、いきなりティショットを大きく右に曲げた。地元・タイの英雄トンチャイ・ジェイディが渾身のリカバリーを見せたが、それでもカバーしきれない。
ピーター・ハンセンと、フレデリク・アンディション組に、7&5の大差で敗れた。「気にするな」というジェイディの慰めが、ミルカ・シンにはなおのこと堪えた。
「申し訳ない」と、うなだれるしかなかった。
日本の賞金王と、若大将も辛苦をなめた。闘将コリン・モンゴメリーと、リス・デービース組に先手を取られる展開は、2人とも勝負どころのパットが決められない。
グリーン上で、互いに呆然と顔を見合わせあとでラインをおさらいする場面が目立った。
懸命に食い下がったが、逃げ切られた。2&1に倒れた。
対して鮮やかだったのが、なんといってもこの日先陣を切った2人だった。
中国のW・リャンと、アジアンツアーの賞金王・盧承烈(ノスンヨル)は、キャプテン・ジョーが期待した以上の成果を持ち帰った。
へンリク・ステンソンと、ヨハン・エドフォルスはスウェーデンの最強ペアを、こてんぱんにやっつけた。
ハイライトは7番だった。リャンが10メートルのバーディパットをねじ込んで、普段ポーカーフェイスの2人が、満面笑みのハイファイブ。相手につけいる隙を与えず、圧巻の5アンダーは3&2で快勝した。
そして、若い2人も大貢献だ。薗田峻輔と石川遼の先輩・後輩コンビは、当初の予想どおり、バツグンのコンビネーション。
前半こそ接戦に苦しんだが、折り返しの10番で薗田が大きな流れを作った。5メートルのバーディパットをきっかけに、「2人のチームワークは完璧になった」と、声を揃えた。
ときおり乱れた石川のティショットを薗田が軌道修正してチャンスにつなげた。
「パットはお互いに、凄く良かったので」。
14番、石川が9メートルのロングパットを沈めると、もはや勝負は決まったも同然だった。イタリアの新星、17歳のマテオ・マナセロと、パブロ・マルティン組を封じた。
杉並学院高のOBペアは「長年、一緒にやってきて、お互いによくクセが分かっている。気が合うので楽しんでプレー出来る」と薗田が言えば、石川も「今日のミスは薗田先輩にすべてカバーしてもらった」と先輩に、感謝しきりだ。
しかし翌2日目はそれぞれのボールを打って、良い方のスコアを採用するフォアボール競技だ。先輩のフォローは望めない。「明日は、ミスも自分でカバーしていかなければ。ドライバーが大きな鍵になる」との石川の反省に、キャプテンの尾崎直道も頷いた。
石川だけではない。「今日は全体的に、みなショットで自分の力を出し切れなかったような印象がある」と、厳しく指摘したがこの日はもともと難しいゲーム方式に加え、11メートルを超える強い風が吹く難条件。その中でもひとまず2対2の引き分けでの幕開けは「上々の滑り出しです」と、キャプテンはメンバーたちを褒めたたえることも忘れない。
「明日はもっともっと自分の力を出せるように頑張って欲しい」と、ハッパをかけながらも、きっとそう出来るとキャプテン・ジョーは、信じている。
<初日・フォアサムの結果>
× ヘンリク・ステンソン&ヨハン・エドフォルス 3&2 W・リャン&盧承烈 ○
○ コリン・モンゴメリー&リス・デービース 2&1 池田勇太&金庚泰 ×
× マテオ・マナセロ&パブロ・マルティン 3&2 石川遼&薗田峻輔 ○
○ ピーター・ハンソン&フレデリク・アンデション 7&5 トンチャイ・ジェイディ&ジーブ・ミルカ・シン ×