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2009年度ジャパンゴルフツアー表彰式<最終章>

18歳の賞金王は過去最多の9冠を受賞…!!
今年、最後の更新となる世界ランキングで30位。石川遼が、来年4月のマスターズトーナメントの出場権を再び手にした。

特別招待枠で、初出場を果たした今年。
「出られるだけで満足、と思っていた」。招待状を受け取ってもその実感すら持てないままに、2日間は夢のように過ぎた。
「地に足がついていないまま終わってしまった」と、苦笑いで振り返る。

象徴的だったのは、2日目の16番だった。予選カットまであと1打という場面で、まんまとオーガスタの罠にはまった。
手前は右からわずか「3ヤード」のピン位置に対して、キャディには練習時から言われていた。
「こんな場合は絶対にピンの方に打っちゃダメだ」。
しかし、怖れを知らぬ17歳は、果敢にピンを狙って案の定バンカーに入れた。「ピンまでは5、6ヤードしかなかった。あんなに近いバンカーショットは、打ったことがなかった」と、大きくオーバーして、20メートルのパーパットを3パットした。
ダブルボギーを打って、挑戦は終わった。

「もの凄く悔しくて……。あの悔しさが、今年の僕を1年間支えてくれた。一時も忘れたことはなかった。この悔しさが続く限り、自分に厳しく練習すると言って、それは今年最後まで続いた」という。

今年、年頭にぼんやりとあったのは、「賞金シードに入れれば十分だろう、と」。
オーガスタでの敗退が、そんな生ぬるい目標に、カツを入れた。
それまで以上に足は自然と練習場に向かい、黙々とトレーニングに汗を流した。

そして選手会長の宮本勝昌が、「あれは遼の独り相撲」と苦笑した。6月のミズノオープンよみうりクラシックで自作自演の大波乱を乗り越えて今季初Vをもぎ取ると、一気に頂点に向かって突き進んだ。

全英オープンや全米プロ。また、WGCやプレジデンツカップと世界でも飛躍の1年には、史上最年少の賞金王というこれ以上ない劇的なクライマックスが待っていた。

18歳での王座は、ジャンボ尾崎が1973年に達成した26歳を大幅に塗り替えたばかりか、米ツアーのウッズでさえ21歳。
世界中を見渡してももっとも若いキングの誕生は、そのほか総合力を示すUnisysポイントランキング賞など、部門別ランキングで最多の9冠を達成した。

それほどの快挙を成し遂げても、翌日にはまるでなかったように、前を見据えた。
ツアー最終戦「ゴルフ日本シリーズJTカップ」の翌12月7日(月)に、都内のANAインターコンチネンタルホテル東京で行われた「2009年度ジャパンゴルフツアー表彰式」で、この1年の感謝の気持ちをひとしきり述べたあとに石川は言ったのだ。

「昨日、18番をホールアウトした瞬間からその実感は薄れていって、過去のことになりました。余韻に浸っている暇もない。すでに気持ちは間違いなく前を向いています」。
今度は自力でもぎとった出場権。来年こそオーガスタの16番で、あの無念を晴らしてみせる。
そして、小学生の卒業文集に書いた。「20歳でマスターズ優勝」という壮大な夢の実現のために……。
いまはまだ、その序章に過ぎない。

※最優秀選手賞を受賞した石川には社団法人日本ゴルフツアー機構・会長の小泉直より記念のトロフィと、UBS証券会社の大森進社長より賞金100万円(=写真上)と、副賞として全日本空輸株式会社の上席執行役員、菊池克頼さまより『ANA国際線 ビジネスクラス任意ー区間ペア往復航空券』が贈られました(=同2番目)。

また、賞金ランキング賞にはプレゼンターを務めた永久シード選手の尾崎直道から記念のトロフィと、東建コーポレーション株式会社の代表取締役社長、左右田鑑穂さまより賞金100万円(=同3番目)と、副賞としてキヤノン株式会社の常務取締役、坂田正弘さまより『デジタル一眼レフカメラ EOS 7D』が贈られました(=同4番目)。

そして、総合的に優れた選手を選出することを目的に、平均ストロークや平均パットなど、9つの部門別ランキングをポイント換算し、その合計により順位を決定する『Unisysポイントランキング賞』には永久シード選手の杉原輝雄より記念のトロフィと、日本ユニシス株式会社の代表取締役副社長 執行役員、福永努さまより賞金100万円と、副賞として『東京ディズニーランド カウントダウンパーティ 2010パスポート』が贈られました(=写真下)。
  • 総合力が問われる『Unisysポイントランキング』でも150ポイントを獲得して堂々1位に!!

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