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とおとうみ浜松オープン 2011
矢野東が3打差首位に
「今日は気持ち悪いくらいにショットが完璧。出球といい、感触といい、こんなゴルフがあるの、というくらい。1日中、満足のいくショットが打てた」。
この日ボギーは11番ホールのみ。「本当はスライスが、風に持って行かれてフックになった」と、6メートルを3パットしたこのひとつだけだ。
2ホールでティショットをラフに入れたが、「起こりうるミスを避けた結果」とそれもひとつの計算のうち。
あまりの好調ぶりに、3日目にして早くも「その気になりかけた」。6番のパー4で、5メートルのバーディチャンスは、打つ前から「入るよ」と矢野。
それを1メートルもオーバーさせて、「まだ早い。気持ちを抑えてください」とは専属キャディの小岸秀行さん。
「気持ちが前に行きすぎて。もう1回、ゆっくりやろう、と。あえて気持ちを引き戻した」というほどだ。
日替わりで変わるショットの課題は、この日は4つ。
1.アドレスで前傾角度を変えない。
2.右にスウェーしないように、内側に体重をかける。
3.テイクバックでフェースを立てる。
4.ヘッドアップしない
これらを完璧にやり遂げた。絵に描いたような理想の弾道が、強風を切り裂いた。「1回のミスもない。すべてストレートボールで狙ったところに打てた」と、この難条件下で66をマークして、3打差の単独首位に躍り出た。
このオフの研究の成果だ。内藤雄士コーチのアドバイスで、ページを開いたのはベン・ホーガンの「モダンゴルフ」だ。
メジャー9勝の“グランドスラマー”は、当時最強といわれた選手のゴルフの手引き書を何十回と読み込んだ。「連続写真を携帯電話にメモリした」。
伝記も読んだ。
「あんなに勝った人でも、毎日悩み、苦しんでいる」。
中でも感銘を受けたのは「目の前の1打に集中しなさい」という偉人からのメッセージ。メモに書き留め、バッグにしまった。
ホーガンの教えどおりにやれば、勝てるという確信がある。
「目の前のショットに集中して、理想の球を打てば明日は間違いなく自分が優勝すると、思っている」。
きっぱりと言い切った。