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日本オープンゴルフ選手権競技 2012

7年ぶりのAON対決は・・・

ツアーは3人合わせて193勝。この日本一決定戦なら11勝。年齢は合わせて192歳となったAONの7年ぶりの同組対決も、やはり“若さ”がものを言う。

今年は本土復帰40周年にあたり、その記念イベントの一環として、初めて沖縄で開催された同大会で実現した夢のペアリングは、その初日に3人の中で、もっとも若い中嶋常幸に軍配が上がった。

しかしその中嶋でさえ、難セッティングに、強風が吹き荒れる難条件も加わって「途中で堪忍袋の緒が切れそうになった」。
どのホールも息のつける場面など、ひとつもない。
「18ホール、全部耐えるゴルフなんだもの。もうちょっと攻めさせてくれても!」と、嘆き節も、この2人がそばにいたから耐え抜けた。
青木功とジャンボ尾崎。
「2人と一緒に回れて僕はとっても嬉しくて。それが良いスコアになったんだと思う」と、AOを凌駕したどころか、2オーバーは首位と1打差の6位タイだ。

青木も、ラウンド中は難コースとの格闘に鬼の形相も、上がれば仏の顔になり、「3人で回れるチャンスなんてめったにないから。7年ぶりの組み合わせをお膳立てしてくれたJGAは憎らしいけど、俺らの年代でもこうしてゴルフが出来るってことをね、感じてもらえれば嬉しいね」。

スタートでは3人揃って記念撮影に収まって、中嶋などは親しいカメラマンに「あとで10枚ほどプリントしておいて」と耳打ちしたほど。
そしてホールアウト後には、なんと3人揃って抱腹絶倒の記者会見。
「でも、僕らのスコアは聞かないで下さいね」と、おどける青木。
ただひとり、憮然とするジャンボはやにわに、声を張り上げ「途中まで、あなたもリーダーボードに載ったじゃない!」。

青木は前半の4番でバーディ先行に、確かに間違いなく一時は首位につけた。
「途中の3ホール、4ホールは良かったな」。
「ほんとに、もう日本がひっくり返ると思ったよ!」と、茶化したジャンボに「そこまで言うか?」と、つっこむ青木。
ジャンボは「俺は何が悔しいって、あんたに負けたことが一番、腹立つ!」と、いよいよ本音が飛び出した。
「なんであんたに負けなくちゃいけないんだ」と、憤る。

しかも、3人が最終18番にやってきたころには、ボランティアのみなさんの手による手動手記のスコアボードは、ジャンボの欄のホールバイホールがすべて外され、代わりに「THANK YOU、AON」のメッセージが・・・。
「気が利いているよね。一番悪い人のスコアが外してあって」と中嶋に、感心しきりで言われれば尚更、主催者の粋な計らいにもジャンボは素直に喜べない。

青木も「俺もジャンボには負けたくないわ、中嶋くんとは競ってるわ・・・」と、そこで今度はジャンボが激しくツッコミ。
「競ってねーよ、全然!! トミーはトップ10も狙っていこうかというのに、あんたはいくつよ?!」。
「・・・8オーバー」と、しょんぼり答えた青木。
「ほらみろ、6オーバーも差がついてるじゃないか。競ってんのは俺とだよ!」。

おっしゃるとおり。青木は序盤こそ、中嶋と競っていたかもしれないが、最後は9オーバーを打ったジャンボといい勝負。
明日への意気込みを報道陣に聞かれても、なかなか前向きな言葉も出てこない。
「意気込みはないよ!」とジャンボ。
青木は「俺は明日、起きれっかどうか・・・」。難コースとの格闘にヘトヘトで、翌2日目は午前スタートに、懸念はいっそう大きくなる。
中嶋も、優勝争いというよりは、不安なのはまずその一点。
「俺の希望は明日も3人一緒に回ること。ちゃんと起きて無事に2人がコースに来てくれること」。

70歳の青木と65歳のジャンボが揃ってコースに現れるかどうなのか。
「10番のティグラウンドで、トミーひとりで“来ないよ〜、来ないよ〜”ってか?」。
「いや、俺は這いつくばってでも来るよ」と青木。
明日も揃って元気な姿をファンの目に焼き付けなければ。

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