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中日クラウンズ 2005

韓国のY・E・ヤンが61で回って、35年ぶりにコースレコードを更新

最終18番。記録のかかった1.5メートルのバーディパットのラインを、真剣な表情で読んでいたヤンの顔がふいにゆがんだ。

「ハ・・・クシュン!!」。
派手なくしゃみのあとアドレスに入ったものの、「まだムズムズしてて・・・」。不快感を残したまま打ったパットは、わずかにカップをそれていった。
ボギーなしの9バーディは70年に、安田春雄が最初に記録した62を1打上回る、コースレコードを更新。

最後を決めていれば、さらに仰天記録の60をマークできていたはずだった。
「そうなんですかあ・・・記録のことなんて、ぜんぜん知らずにやってましたから・・・残念でしたね」と、話す言葉も鼻声のままだった。

先週のつるやオープンで、生まれて初めての花粉症にかかった。
が、韓国出身のヤンはもちろん、「花粉症」の存在など知らなかった。
「風邪かなあ・・・」と思いながらしきりに鼻をかんでいたら、そばをとおりかかったプロキャディの伊能恵子さんが、
「ヤンさん、それ花粉症だね」。
「カハン・・・?」。
「違う、かふんしょう。K、A、F、U、N。花粉症」。
「カフンショー」。
「そうそう。今の季節ね、木が粉みたいなのを飛ばしているの。それが鼻に入って、くしゃみが出ちゃうのよ」。

薬局で「花粉症です」と伝えて、症状に合った薬を買ってきたらいい、と教えてもらった。

今週も、それでどうにかしのいではいるが、この日に限って「薬を食べる(飲む)」のを忘れてしまった。
「そのせいで、どうにも力が出ないんでね。仕方ないから、今日はもうゆっくり振って行こうと思いながらプレーしたのですが、それがよかったみたい」。
ミスというミスも、最後のバーディパットだけだった。
ただ苦しいだけ、と思っていた「カフンショー」も、この日ばかりは思わぬ方向で、快挙達成の役に立ったようだ。
  • 18番で絶好のチャンスをはずして、うずくまって悔しがるヤン

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