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ヤシの木に勝利の誓い…!!(12日)
2日後に迫った本戦に先駆けて、12日水曜日は開催コースのエンパイヤホテル&カントリークラブに併設されたプライベートビーチでオープニングセレモニーが行われた。
欧州チームの集まりが悪くて、アジアチームは少々いらいらさせられたが、メインイベントの植樹式では特に若いメンバーたちの笑顔が戻った。
こんな異国の地で、土いじりをするなんて思ってもみなかったが、みんなで白い手袋をして、シルバーのプレートに自分の名前が刻まれたゴルフボールのオブジェの横に、大きなスコップでヤシの幼木を植える作業は、思いのほか楽しかった。
最後はじょうろで水をやり、なんだか気分も高まった。
3年ぶり2度目の王冠奪還をかけて、「今年は例年以上にベストメンバーを揃えてきたので」とはキャプテン・ジョー。
今年は特に、負けられないという思いがする。
というのも、欧州チームは開催目前になって、次々とメンバーを変えてきたばかりか、本来はキャプテンを務めるはずだったコリン・モンゴメリーに変わって、ホセ・マリア・オラサバルは本戦では兼任でプレーもするという。
世界ランクもフランチェスコ・モリナリの30位が最高位で、50位内の選手も数人だけ。
「若い選手を投入するでもなく、相手は油断しているような気がする」と、直道は上品な表現にとどめたが、もっとはっきり言えば、舐められているのではないか、と思えばこそ「今年はぜひ、そこに詰め込みたい」と、直道は考えている。
メジャーチャンピオンのY・E・ヤンを筆頭に、「われらアジアも世界中を転戦している選手たちばかり」だ。今さら、勝つための秘策を伝授するまでもない。
それでも、あえて可愛いメンバーたちに伝えるとすれば、「勝って、みんなで喜びを分かち合おう」ということ。
直道は、先週のシニアと女子と、男子ツアーの対抗戦「「Hitachi 3Tours Championship(日立3ツアーズ選手権)」でもキャプテンを務めたばかりだ。社会貢献をまずは開催の第一の目的としたイベントは、「みんなで楽しくゴルフができればいい」というのもあるかもしれないが、今年は3年ぶりに2度目のタイトルを奪還して、つくづくと思った。
「やっぱり、どんな試合でも勝つっていいな、と」。
極寒の日本を飛び出して、今週はブルネイで、メンバーたちに勝利の美酒を味あわせてあげたい。
本人は、ノンプレーイングキャプテンとうたっており、アシスタントのノンプレーイングキャプテンには梁津萬 (リャン ウェンチョン)。「誰かがお腹が痛い、ということにでもなれば代わりはまずリャンさん、なんだけれどもしそのリャンさんが、“直道さんどうぞ”と言ってくれたらオレが行く!」と、この日は公式練習ラウンドでも56歳にして、ついに戦う男の我慢も限界。自らクラブを握って、コース攻略に頭をめぐらす場面も。
キャプテン・ジョーの熱の入れように、メンバーたちも発奮しないわけがない。
「勝ってみんなで喜ぼうや」という直道のゲキに、最年少ながら常連メンバーの石川遼が代表して応えた。「昨年、一昨年と悔しい思いをしているし、僕らのモチベーションもすごく高い」。
伝統の団体戦を経験しているからこそ、それと比較してこう思う。「チームに貢献したい、優勝に導きたいというみんなの気持ちは、プレジデンツカップと変わらないくらいに持っている」。
初開催のブルネイでは、市内の至るところに大会の看板やポスターを飾るなど、空前の盛り上がりを見せている。開催国の期待も裏切れない。
「絶対に勝ちたい」。今年こそ、力を合わせて王冠を獲り返す。