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カシオワールドオープン 2002

「最後に、何をすべきかは分かっていたから…」

18番で圧巻イーグル、この日、終始自信に満ちていたデービッド・スメイル

とどめの一撃は、まるで狙いを定めてそこに舞い降りた鳥のように、フワリ、と落ちた。
2位のジョーンズと、1打差で迎えた18番パー5。
4アイアンで打った、残り208ヤードの第2打は、ピン奥3メートルの下り傾斜にピタリ。
「本当は、ピン右端めがけて、ひっかけたショット」と後で照れ笑いを浮かべたが、それは他に文句のつけようのない、完璧な1打だった。
大歓声に迎えられ、打ち上げになった18番グリーンの坂の下から、ヒョロリ、と195センチの長身をのぞかせたスメイル。
穏やかな笑顔を浮かべたまま、そのイーグルパットも、ごくあっさりと、決めてしまった。
それはあまりにも何気ない風だったので、まるで、まだこの選手にはこれから数ホール、ラウンドが残っているのかと感じられたほどだった。

「いえいえ、とても緊張していましたよ。最後のパットで、ようやく呪縛から解放されたようなものでしたね。でも、過去の経験から最後に自分が何をすべきか、はっきりと分かっていましたし、我ながら、落ちついて対処できたと満足しています」

ほとんど3メートル以内のチャンスにつけて奪ったこの日の1イーグル、6バーディ、ノーボギーのゴルフも、「いろんなことは考えず、とにかく目の前の1打にだけ集中した結果です」と、こともなげに振り返った。
先月から練習量をふやしたSWや、ターゲットをしぼって確実にフェアウェーをキープしたティショット、ラインをひとつに決めて練習するようになったパッティングの成果ももちろんあるが、この日の
スメイルを支えたものは何より、「自分には、過去3勝をあげた実績がある」という、ゆるぎない自信だった。
この日は、首位のジョーンズと、4打差3位からのスタートにも、
「先週の最終日にとてもよいプレーができていたこともあったし、今週は、何か自分でもやれるんじゃないか、という予感めいたものがあったんですよ」

そしてその予感は、11番からの3連続バーディで確信へと変わった。
スメイルの集中力は、クライマックスにむけ、ますます、研ぎ澄まされていき、それは、最後の18番でいよいよ結集されたのだ。

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