2003年の初優勝を機に、スイング改造に取り組んだが失敗。ショットのコントロールがまったく効かなくなった。諦めて、いざ元のスタイルに戻そうとしても「去年、受けたダメージがいつまでも消えてくれなかった」。今度はひどく曲げたときのイメージがよみがえってきて、怖くて思い切り振れなくなった。

「普通の人なら、もうとっくにつぶれていたと思う」というほどのひどいスランプ。
それでも田島は、「解決するには、自分なりに技術を身につけるしかない」。強靭な精神力で乗り越えて、こうして優勝争いできるまでに立ち直ってきた。

今週は、心強い味方もそばにいる。
小田美奈さんは今年、女子プロの宮里藍選手の専属キャディをつとめているが、いま、その宮里選手は海外遠征中。
その間、手が空いた小田さんに、田島が先週のセガサミーカップから2週間の“契約”を申し出た。

キャディ歴7年の小田さんは宮里選手のほかに、今井克宗を初優勝に導くなど、経験も豊富だ。

「僕が迷う場面でも、『こうしましょう』とか『違います』とか、はっきりと言ってくれるから気分的にとても楽」と、絶大な信頼を置いているが、田島が小田さんをさらに大きく評価している点は、「彼女が非常に良い運を持っている人」ということだ。

笑顔があるところには幸運が舞い込む、とよく言われるように、いつもハキハキと明るい小田さんがそばにいると、「こちらまで、ラッキーが移ってくれそうで」（田島）。
その言葉どおり、小田さんがバッグを担ぐなり、田島のゴルフも上昇ムード。

最終日最終組で回る相手は、日大時代のひとつ上の先輩で、互いに師事する堀尾研仁コーチの門下生でもある。
オフも3人でしょっちゅうラウンドするほど気心知れた仲でもあるが、そんな高橋を相手に田島はライバル心をむき出しにした。
「明日は、負けたくない」。

田島の頭には、“優勝”の2文字しかない。「2位は予選落ちと一緒の感覚。プロでやる限り、僕は賞金より勝ち星にこだわっていきたいから。明日も、勝ちたくて勝ちたくてたまらない」。
その思いを押さえつけるのが大変なくらい、と言って田島は笑ってみせた。

• 田島 創志
• 今井 克宗