記事

東建ホームメイトカップ 2012

石川遼が3位タイに

開催前に公言していたとおりに、優勝争いに加わった。いよいよ新しい春を迎えたジャパンゴルフツアーはまずは4月に3試合。「このうち1試合で優勝争いをしなければいけない」。強い意志で3位タイに浮上して、さっそく初戦から有言実行だ。

「今日は3日間で、一番難しいコンディション」。だが、ここ多度でもはや自身5度目となる開幕戦に、戸惑いはない。ここでの優勝こそまだないが、デビュー年の2008年に5位、昨年は3位。「知らないところはない」と、熟知した舞台の攻め方は、心得ている。
力強くガッツポーズを握った8番や16番のバーディのほか、14番や15番では落ち着き払った1メートル半の絶妙なパーセーブにこの日の難条件もあっけなく吹き飛ばした。

先週のマスターズで無念の予選落ちにも、トップランカーの姿はしっかりと目に焼き付けて帰ってきた。すぐに気持ちを切り替えて、この初戦に備えてきた。今週から投入したというセンターシャフトのT字型パターと52度のウェッジと、糸が練り込まれたグリップの3つの新兵器が日に日に馴染んでくるのに比例して、一気に順位を上げてきた。

「まったく手が届かずに勝てなかったというのと、何度も2位や3位に入ったけれど、勝てなかったというのとは違う。だから、二度ともう、勝てない1年は嫌だとは思わない」とは、未勝利に終わった昨年を、改めて振り返って言った言葉だ。

それでも、大切な相棒の気持ちを思いやると、そうも言ってはいられなくなった。コンビを組んで5年目になる専属キャディの加藤大幸さん。
「僕の失敗は僕だけの失敗ではなく、僕の優勝も僕だけのものじゃない」といえるほどに、一心同体のパートナーだからこそ、「もしかしたら、僕よりも優勝したいのは、加藤さんかもしれない」と、思い至った。

同時にもっと大切なことを、思い出した。奇しくも最終日の15日は、加藤さんの29回目の誕生日。「誰かのためにゴルフをしたことってあまりないけれど。明日は優勝をプレゼントできたら」。2打差の首位に立ちはだかった片山を仰ぎ見て、「全力を尽くして大きな壁に立ち向かっていけたらいい」と、気合いを入れ直した。

関連記事