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JGTOは今年もタイトル奪還に失敗

それにしても我らがJGTOは、チーム戦にめっぽう弱い。今年は夏の日韓対抗戦でもそうだった。2人でペアを組むゲームで、揃って普段の力が発揮できない。それは、12月9日に行われたシニアと、女子と、男子の対抗戦「Hitachi 3Tours Championship(日立3ツアーズ選手権)」でも同じで、敗因はなんといっても、前半9ホールのダブルス戦だ。

スタートからいきなり3連続バーディを奪ったように、「僕らは凄くかみ合った」と、満足そうに勝ち点を持ち帰ったのは、先陣を切った上平栄道と金亨成(キムヒョンソン)の初出場ペアだけで、あとは惨敗。

谷原秀人と藤本佳則の“東北福祉大OBペア”は、「藤本には迷惑かけられどうしで。ミスも必死で尻を拭いてあげているのに、あいつはミスして勝手にへこんでるわで、もう疲れましたよ」と、先輩がボヤけば、後輩は「はい、その通りでございます」。

そんなすったもんだは前半の、最終マッチの“師弟コンビ”も大差なく、谷口は「なんで藤田くんはタイへ行っちゃったんだろう?」と、賞金王の名を挙げて、言い出す始末だ。
ペアを組んだのは、自分を「師匠」と慕ってくれる武藤俊憲。嬉しいけれど、今回は「ちょっと迷惑。だってあの小技の下手さは・・・。僕の教えが悪いと言われるじゃない!!」。

こうなったら自分でやるしかないと、17番で長いバーディトライを沈めて弟子と抱き合いながらも、内心思う。「藤田くんとなら、最強コンビが組めたのに!」。特に小技のうまさに一目も二目もおくライバルは、しかし今週はちょうどアジアンツアーのタイ選手権で、世界ランクのさらなる上昇を期して奮闘中だった。

だから今年、JGTOの3年ぶり5度目のタイトル奪還は、賞金ランク2位の谷口に一任されたのだが、思いのほか弟子とのコンビネーションが悪くて、前半首位の女子のLPGAとは1点差といえども、屈辱の最下位で、大会を折り返して火がついた。

後半のシングルス戦で当たるシニアの尾崎直道には、「絶対に負けない」と、力を込めた。
谷原も、「藤本と離れてやっと集中出来る、伸び伸びやれる」と、巻き返しを誓って出ていった。

男子はそれぞれ一人になって、やっと意地を見せた。後半のシングルスストロークプレーで次々とポイントを持ち帰り、ついに逆転に成功した。4組目の武藤が、室田淳と“女王”の全美貞(ジョンミジョン)を押さえて、勝ち点3を持ち帰り、その時点で合計15.5ポイントはシニアに2点差をつけて、やにわに有利な展開に、色めき立ったのもつかの間だった。

次の5組目。「谷口は20年来のライバル」と、シニアの直道も負けじと言った因縁の対決で、グリーンの奥からまさかのチップインバーディを奪われた。土壇場で、谷口が勝ち点3を奪われた。
しかもシニアの逆襲は、これで終わりではなかった。

なんと、最終マッチの中嶋常幸。最年少メンバーの藤本佳則との対決で、なんと右のバンカーからこれまた奇跡のチップインバーディで、シニアは3年ぶり2度目の勝利を勝ち取った。

みごとな逆転劇を見せつけられて、痛感した。
最終ホールで奇跡の大逆転は、谷口自身も今年、10月のブリヂストンオープンで藤田をぎゃふんと言わせていい気分を味わったものだが、「逆にされるほうは、かなり気分が悪い」と、この“最終戦”で、なぜだかシニアの面々に、藤田の仇を取られた気分。

ちょっぴり殊勝な気持ちになって、、「あのときは、藤田くんに悪いことをした」と今さらながら詫びを入れた、我らがJGTOキャプテン。

でもすぐに負け惜しみ。今回は1日18ホールの短期決戦に、「72ホールあれば、こんなことはなかった!」と、同時にいぶし銀のゴルフには、頭が下がる。

「本当に諦めの悪い人たちですよ」と、そんな表現でシニアの面々の粘り強さをたたえた。今回のJGTOメンバーの中では最年長の44歳も、さらに上を行くベテランには完敗だ。
「集中力も、技術も、まだまだ僕らより上ですね」と、改めて畏怖の念を抱いた師走の1日。JGTO新会長の海老沢勝二も「最後はこれまでの経験と実績を持つシニアチームに、諦めないプレーを見せていただいた」と、まさに誰も予想だにしなかった鮮やかな逆転Vには負けてむしろ、すがすがしい気分だ。

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