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横尾要が“ホールインワン”を達成!!
「自分で言うのもなんだけど、俺は相当に運がいい」と言ってはばからない横尾は、市立若浜小学校の体育館で、自らの言葉を改めて実感することとなった。
と、同時に猛省も。
「いくらなんでもあれはやり過ぎだよね。やっちゃいけないことだよね」。
午前中は、4年生の2クラスを対象に行ったスナッグゴルフの実技講習会も佳境を迎え、2人の代表児童とラウンド対決の時間になった。和訳で「くっつく」を意味する“スナッグ”ゴルフは文字通り、マジックテープが巻かれたピンフラッグにボールがくっついたら、ホールアウトの合図である。
「もちろん、狙ってはいたけれど」。しかし、ジャンケンの順番で先に子供たちが打ったあと、最後に放った第1打が、まさか一発でくっつくとは、横尾本人も想像だにしていなかった。
対戦相手は1組の後藤海翔くんも、2組の遠藤聖華さんも、あらかじめプロに2打のハンディをもらっていたとしても、もはや勝ちようがない。遠藤さんは「一発でくっつけちゃうなんて、やっぱりプロはすごい!」と驚嘆しつつも後藤くんと力を合わせて懸命に応戦したが、揃って5打目でくっつけるので精一杯だった。
「あれは俺がダメだよね。あれじゃせっかくのゲームも盛り上がらない」と横尾は、あいかわらず反省しきりだったが後藤くんも、遠藤さんも「でもおまけを2つももらったから。3つで上がれて嬉しかった!」と、ゲームを心から楽しんでくれたようだった。
この日は4年生の2クラスが、8班に分かれて行われたレッスン会は町田義勝先生ら、8人のスナッグゴルフ部の指導員のみなさんも応援にかけつけてくださって、横尾を含めて1班に1人の“講師”がついたはいいが、おかげでプロを独り占めする贅沢な班が出来てしまった。
8班は、4年生全員の羨望のまなざしを受けながら、リーダーをつとめた狩野恵大くんは、しかし横尾を前にして借りてきたネコのようになってしまった。「プロゴルファーを生で見るなんて初めてで緊張しちゃって・・・」と、グリップから構え方、ボール位置まで、せっかく手取足取りの懇切丁寧な横尾の指導も終始カチコチ。
そんな狩野くんたちを羨ましがったのは、ほかの4年生たちだけではない。狩野くんと同班の佐藤日莉さん。「お父さんがゴルフが大好きで。今日は横尾プロに教えてもらうと言ったら、いいなあって・・・!!」。まさか娘がたっぷり1時間以上もほとんどつきっきりで、指導を受けたと知ったらお父さんはもっとびっくりしてしまうだろう。
そして6年2組は我慢できずに、授業時間を返上して見学に来てしまった。クラスメイトと指をくわえて様子を見ていた酒井ひよりさんは、今週土曜日に大事な試合を控えているからなおさらだった。
3日にあの石川遼が主催する大会に出場するというだけに、横尾が放ったデモンストレーションのフルショットには、目がクギづけだ。
「ヘッドスピードがものすごく速い!」と、せめて迫力のスイングをその目に焼き付けた。ぜひ、今週末の試合で生かそうと思って・・・・・・。
それにしても、この日の山形はほんとうに良いお天気だった。伊藤校長先生も話していたが、「この時期、このあたりはほとんど厚い雪雲に覆われて、空が見える日はほとんどないに等しい」。
しかし、この日ばかりはいきなり春の訪れを知らせるようなポカポカ陽気に、積もりに積もった雪も溶け出すほど。朝から一点の曇りもない青空に、名峰の鳥海山(ちょうかいさん)もくっきりと映えた。それはそれは、心洗われる美しい風景だった。
お天気にさえ恵まれて、「俺は昔から相当、運に恵まれている」と自認する伝道師には確かに、こんなところにもツキがあるらしい。