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2010年のニューフェイス紹介②<梶川剛奨>

昨年はコカ・コーラ東海クラシックと7月のセガ・サミーカップでトップ10入り
今季からシード選手の仲間入りをする“新顔”。25歳の額賀に続いてご紹介したいのが、そろそろベテランと呼んでもいい、38歳の梶川剛奨(かじかわたけし)だ。

梶川といえば、なんといっても“三つ巴の戦い”だ。
昨年10月。コカ・コーラ東海クラシックで若い2人の賞金王争いに割って入った。

最終日は石川遼と池田勇太と優勝争い。
3人タイのまま最終ホールまでもつれた史上希に見る名勝負は18番で、石川が深いラフからの第2打をピンそばに寄せる仰天のバーディでエンドマークを打ったが池田は言うまでもなく、バーディをたくさん取るかわりに、ボギーやダブルボギーも打つ若い2人を横目にボギーなし。安定したプレーを辛き通した梶川の粘りがあったからこそ大会は、劇的な盛り上がりを見せたのだった。

そしてこの1戦が、梶川の運命を変えた。自己ベストの単独2位は、この時点で獲得賞金は1700万円を超えて、自身初のシード権を確定させた。

1995年のデビューから苦節14年。
千葉県の東葛飾高校からプロゴルファーの道へ。99%の進学率を誇り、東大合格者も出るという進学校からの転身は、周囲の猛反対に遭ったが「腕1本で生きたい」という本人の意志は固かった。

押し切って24歳でプロ転向を果たしたものの、その道のりは遠かった。
一銭も稼げない年が続いたあげくに2007年には頸椎ヘルニアを患って、約半年間もクラブが握れなかった。
そんなつらい時期の最中にも、ひたすら頑固に前だけを見つめ続けた。

ファイナルQTランクは54位の資格で出場権を取り戻したのは、昨シーズン。プロコーチの中島敏雅さんと話し合った。
「僕はグリーン上での思い切りが悪い」。
返しのパットが打ち切れないことが、ほかのショットにも悪影響を及ぼしているとにらんだ2人は弱点克服のために、「今年はとにかく強めにパットを打つ」と決めた。

「それによって、逆に3パットが増えるかもしれないけど、それを怖れていると、これ以上もう上には行けないと思ったんです」。
一念発起の2009年にはもうひとつ、大きなご褒美がついてきた。

部門別ランキングのサンドセーブ率で1位を獲得した。
「いやあ、僕よりバンカーショットが上手い選手は他にも一杯いますよ」との謙遜は、コーチとの二人三脚で練習を重ねてきたショートパットが生きたからこその受賞だった、という自負の裏返しでもあった。

本名は「武」。まだ出場権もない時代に登録名を「武志」に変え、さらに2006年から今の名前で戦いはじめて5年目。「剛奨」と書いて、「たけし」と読む名前を、今こそ世に知らしめるときが来た。

稼げなかった時期も支えてくれたたくさんのスポンサーと、昨年2月に結婚したばかりの妻の静さんと。今年こそ、長く待たせた恩人たちに報いるためにも、このオフは「今まで以上に課題を持って取り組む」。
新しい1年を占う意味でも、まずは2月4日に開幕するアジアンツアー「アジアンツアーインターナショナル」で腕試しだ。

※2010年のニューフェイス紹介①<額賀辰徳>

  • 初シードに加え、サンドセーブ率1位に「一番になるということは、何であれ嬉しいこと」とますます自信を深めて2010年を迎える
  • 2010年の目標は、「そりゃあ優勝とかもしてみたいですが…でもあえて具体的な数字などは作らないでおこうと思っているんです」と梶川。

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