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LPGAが5年ぶり2度目の頂点に
男子のJGTOは、過去最多の4勝を自慢に、始まる前からなんだか妙に余裕を見せていたし、シニアのPGAはあいかわらず女子にデレデレで、松井功会長が今季限りで勇退するからと、だからみんなで最後に勝って胴上げがしたいと口を揃えていたわりには、最多タイは6度の出場を誇る室田淳を筆頭に「僕らはいつも女子の味方」と、ほかの5人も言ってはばからなかった。
その中にあって、ことあるごとに「今年は絶対に勝つ」と最初から、女子のLPGAチームは闘志も、優勝に駆ける思いも、他の2チームと比べても抜きん出ていた。
佐伯プロの活躍もさることながら、JGTO会長の小泉直が敵ながら、大きな感心を寄せたのはキャプテンの大山志保選手だった。
前半のオルターネートのダブルス戦では結局、平塚&池田組に破れはしたが、ペアの笠りつ子プロと揃ってスタートから3連続バーディでいきなり男子とシニアの度肝を抜いた。
「大山さんとの相性も良くて、最初からバンバン入れちゃいました」と、舌を出したのは笠プロだ。
そして大山プロは、後半のシングルス戦でも勢いが止まらない。シニアのフランキー・ミノザと男子の平塚哲二を相手に、またもや出だしの3連続バーディで、今度こそその勢いを持続したまま圧巻の4アンダーで男どもをぎゃふんと言わせた。
「いやあ、私は強い選手と回ると燃えるので」と照れた大山プロに、平塚が関西弁で鋭い突っ込み。「燃えすぎや!」と、恨めしそうに言われていっそう照れた。
「女子チームには、やってやろうじゃないか、という強い気持ちが勝っていた」と、JGTO会長の小泉が何度も褒めたように、身長149センチの馬場ゆかりプロもまた、その小柄な体に熱い思いを一杯詰めた。
前半は、横峯さくら選手とのペアでボギーなしの4バーディを奪って、男子の賞金王の裵相文(ベサンムン)&近藤共弘と、シニアはやはり賞金王の金鐘徳(キムジョンドク)とミノザ組に圧勝すると、後半のシングル戦は、あがり2ホールの連続バーディで、佐伯プロと並ぶ最多の勝ち点6をさらった。
そして横峯さくら選手と女王アン・ソンジュ選手にいたっては、笑顔の暗殺者といってもいい?! 後半のシングルスで対戦した石川遼は、昨年に続いての惨敗に、「さくらさんは、普段はニコニコとリラックスしているけれど、いざボールを打つときの気合は凄い」と舌を巻く。
アン選手もまたしかりでいつマイクを向けられても、とろけるような笑みを浮かべて胸を押さえて「凄く緊張しています」と、繰り返すのだけれど、いざプレーとなると、その言葉も疑いたくなる。
前半は、男子の小田孔明&石川遼と、タイスコアで迎えた最終ホールで長いバーディパットをねじ込んで、土壇場の勝ち点3をもぎ取った。後半のシングルス戦は、男子とシニアの賞金王を相手に、「偉大な先輩方とのプレーは本当に緊張します」とまたもや常套句で頬を染めながら、裵相文(ベサンムン)と互角に戦った。
5年ぶり2度目の優勝に輝いた女子チームは昨年の今大会のあとに勇退された、樋口久子・前会長の並々ならぬ思いを受け継いだ小林浩美・新会長にとっても、就任1周年の何よりの記念となった。
「今年のLPGAのスローガンでもある“心をひとつに”と、みんなで力を合わせてプレーした結果です」との大山キャプテンの言葉を合図に改めて、いっせいにバラ色に頬を染めた女子チームに、もともと大ファンを公言しているシニアの面々はもちろん、硬派な男子も思わず見とれるしかなかった。