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関西オープンゴルフ選手権競技 2012
ベストアマチュアの「中部銀次郎賞」は、韓国の田宰翰 (ジョンジェハン)さん
この日最終日は“トップ”を走っていた田宰翰 (ジョン ジェハン)さんに、鍋谷くんも一度は追いついた。通算4アンダーで並んでいたが、世界を股にかけるトップアマには結局、3打及ばなかった。
「惜しかったですけれど。プレー中は人との差は気にせず。1打1打、自分のことに徹しようと思った。力は出し切ったと思います」と16歳は、負けて晴れやかな笑顔を見せた。
最終予選会を突破して、初めて出たプロの試合。ティーチングプロでお父さんの忠治さんの運転で、ギャラリーは入れないゲートを毎日くぐる・・・。そんなことさえ嬉しくてたまらない。「少しだけプロの世界に近づけたかな。仲間入りが出来たような気がしました」と、無邪気な声も弾む。
本戦でも大健闘だった。2日目は65をマークして、予選を突破。そしてこの日は最終18番で、あわやチップインイーグルのバーディ締めに「最高でした」。明日への大きな糧となる4日間。来週にはツアー出場優先順位をかげた予選会「クオリファイングトーナメント」に挑戦する。早くもプロの舞台を目指して始動する。
「ショットもパットも、まだまだ足りないところはいっぱい。もっと練習しないと!」と、気合いを入れ直していた。
そして田(ジョン)さんは、鍋谷くんと、大阪学院大学1年生の長谷川祥平さんとのデッドヒートを制した。大会最上位につけたアマチュアに贈られる、栄光の「中部銀次郎杯」を手にした。
前半は3つのボギーで2人のライバルに一度は並ばれたが、後半の9ホールは6つのバーディであっさりと振り切った。大会成績も13位タイの大健闘にも「5月以降、久しぶりのトーナメントでけっしてベストではない状態でこの結果は自信になる」との言にも大物ぶりが漂った。
5歳で母国韓国からマレーシアに渡り、9歳からゴルフを始めたという田(ジョン)さん。14歳で「マレーシアアマ」を制覇。高校時代は豪州で過ごしてから、アメリカのノースウェスト大学に進学。“オールアメリカン”にも選出された。先輩のルーク・ドナルドと同じティーチングプロに師事して腕を磨き、2010年の全英オープンに出場した経験もある(1打差で予選落ち)。
このほど大学を卒業して、ツアー出場権をかけた予選会は、日米の“W受験”。しなやかな筋肉を駆使して優に300ヤードは飛ばすという実力の持ち主が今度はトッププロとして、各国ツアーのリーダーボードを飾る日もそう遠くなさそうだ。