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圧巻の9連覇! 石川遼が今年も・・・

たとえ軸足をアメリカに移しても、ファンの心に強いインパクトを与え続ける。今年はまず、なんといってもスポンサーを喜ばせたホストV。24歳のバースデー週に、本人には何より、あの“輪厚(わっつ)”の初制覇も、嬉しかった。
9月のANAオープンは、アメリカで見失っていた。攻める気持ちを貫きとおした、1年2ヶ月ぶりのツアー通算12勝目だった。

「Most Impressive Player賞」、通称「MIP賞」は、数ある部門別ランキングの中でもこの1年で、「もっとも印象に残った選手」をファンのみなさんに選んでいただき、会場に設置した投票箱や、当ホームページ上から直接、投票していただく賞であり、もはや不動のダントツ1位だ。衝撃の最年少ツアーVから9年経た今も、どこにいようとファンの心をがっちり掴んで離さない。

「毎年こうして9年連続でファンの方に選んでいただけることが、一番の支えです。恵まれていると思うし、改めて幸せなことだ、と」(石川)。

12月7日に行われたジャパンゴルフツアー表彰式で、このあとまた年明け早々から始まる米ツアーにむけて、何より励みとなる“9連覇”となった。
そしてその前日には、国内シーズン最終戦「ゴルフ日本シリーズJTカップ」で、自身初の日本タイトル獲り。今季は国内7戦ながら、賞金王の金庚泰 (キムキョンテ)の5勝に次ぐ年間2勝は、日本勢としては唯一の複数回Vであり、今年もまた年の最後に強烈な印象を残した。

5打差の圧勝を決めた。東京よみうりの最終ホールは、ぐるりと埋め尽くした満員のファンに祝福されて、「アメリカで、ときには孤独な戦いになるが、この18番での景色を思い出してがんばる」。
再出発の手土産も、ファンからもらった。

米ツアーへの本格参戦も3シーズンを過ぎて、日本と行ったり来たりする中で、石川はしきりと、日本ゴルフ界への熱い思いを吐露するようになっていた。
留守にしているからこそ分かる。遠く海の向こうから眺めるからこそ見えてくる、母国ツアーの現状。

表情を曇らせて、「今の男子ツアーは、選手一人が呼べるギャラリーの数は、女子の10分の一くらいだと言ってもいいんじゃないでしょうか」。
ツアー通算13勝目を飾った今季最終戦でも感じた。「思っていたよりも、お客さんの数が少ない。盛り上がり的にもいま一つなのじゃないか、と」。
その要因は、一口には言えないが、石川が挙げたのは一つには少々物足りない選手層の厚さだ。
「自分を含めて、世界ランク50位内の選手が一人もいない」。
シーズン最終戦は、選ばれし者だけの頂上決戦という売り込みにも関わらず、たとえば石川が63を出した3日目は、トップに立った石川の通算11アンダーに続いて2位の孔明が8アンダー。「孔明さんの下にまた3つ差があるのにはびっくりした。今日のコンディションなら全体的に伸びると思っていたのでちょっと意外」と、下から追い上げてくる選手のプレッシャーが感じられないことに、石川はちょっぴり失望していたようだった。

ギャラリー数の減少は、もちろんこれ、と原因をしぼることなど出来ないが、石川はゲーム展開にも言及するなど、あくまでも選手側の目線で終始ぶれることなく熱い思いを語った。

「どうやってゴルフは楽しいよとアピールするか。やっぱり、ゴルフファンを第一に考えること。今までと同じようにやってきてもダメで、ファンの目線に立って、新たなファンも含めて男子ゴルフというものに、もう1回注目してもらえるように、トーナメントのことを考えていかなくてはいけない」。

女子ツアーの隆盛を、このまま指をくわえて見ているのか。「いいや、これじゃだめだから、改善していこうと、全員が全員、思うのは無理だとしても、では変えていこうとどれだけの選手が思えるのか。トーナメントは僕らの職場ですから。試合が減るということは、仕事が減るということ。どれだけの選手がそういう危機感を持ってやれるか」。

「ハニカミ王子」と呼ばれた頃から、今ももっとも、ファンに支持され続ける選手もそんなことを、率先して考える年頃になった。来春早々の再渡米まで、限られたつかの間のオフは、急ピッチでゴルフの調整に励むかたわらで、広報活動にも力を入れると宣言した。

新年の特番にも、喜んでオファーを受ける。正月2日には、テレビ朝日系の「とんねるずのスポーツ王は俺だ!!」で、松山英樹とバラエティ番組で初共演する。
「こういうスポーツ特番で、ゴルフも取り上げていただけることはありがたい。特番でもゴルフがなくなっちゃったら終わり。オファーが来なくなったら、それこそヤバい。ゴルフ界のためにも自分に出来ることはしたい」。
いよいよ、前人未踏の“10連覇”がかかる来シーズンは「またさらに、大きくなった姿で戻ってきたい」。
2016年はまた、どんな感動シーンを届けてくれるか。

※MIP賞を受賞した石川には一般社団法人日本ゴルフツアー機構より記念のトロフィーと、森ビル株式会社の辻慎吾・代表取締役社長より、賞金30万円が贈られました。
  • 「武井壮さんとはよく、スポーツ界のこれからのことについて、お話をさせていただくんです」
  • 来年は10連覇がかかるMIP賞。「さらに大きくなって帰ってきたい」

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