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日本プロゴルフ選手権大会 日清カップヌードル杯 2013

地獄を味わった男からのメッセージ

この日は後半の11番で、この日4つめのボギーを打って次の13番で、深堀圭一郎はあえてリーダーボードを凝視した。「自分でお尻を叩く意味があった」。自分の位置を、確かめたかった。気合いが入った。595ヤードと距離の長い17番パー5は、「セカンドで悩んだけど、攻めてみた」と、バーディで逆襲した。

4位タイに踏みとどまった。首位とは4打差で迎える決勝ラウンド。V争いの姿が傷ついた友人へのメッセージになればいい。
深刻な左手親指付け根痛で、いったん戦いの場から離れている丸山茂樹だ。
「一度は落ちた人間が、また表舞台に戻ってくるのは並大抵のことではない」。
同じ年頃の自分も、いまそのまっただ中にいる。

2009年頃から、左足の足底筋膜炎に苦しんできた深堀。とうとう手術に踏み切ったのは2011年。「二度と戻れないかもしれないと思った」。不安と戦いの日々。昨年はこのプロ日本一決定戦で1打差の2位につけて、復活への足かがりを作ったが、物語はまだ終わらない。
「プロだから会場に来て、プレーは出来る」。今季はアジアシリーズ1戦を含む参戦4戦ですべて無難に予選通過も、「それからさらに、上に上がっていくのは大変」。

松山英樹ら若手の台頭に、「正面から向かっていって、勝てるとは思っていない」。しかも今週は、今季のメジャー第1戦にふさわしい難セッティングに、「正面からしっかりとしたものを持っていないと弾き飛ばされてしまう」。

1日や2日は上位で争えても、「36ホールから、72ホールへとつないで、耐えうる体力、精神力がないといけない」。デビュー時と変わらぬ爽やかさも、44歳。まして、「一度つぶれたものを、取り戻すのは何倍もの力が必要」と、その過酷さ、厳しさは承知の上で、「それをやっていくのが自分の責任だと思っているので」と、今年も大舞台で歯を食いしばる。

「40歳を超えて、なかなか現場に戻って来られない選手がいる」。丸山や、田中秀道といった同じ世代の選手たちのことが常に頭の中にある。20代、30代を競い合ってきた戦友たちだ。「一度は自分も折れそうになって、それでももう一度、花を咲かせられる選手になりたい」。そう願うのは、親友たちにその姿を見せるため。そして、「また戻ってきて一緒に戦おう」。2005年のANAオープン以来となる復活の9勝目を目指すのは、その思いを伝えるためでもある。

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