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3年後にはリオの星?! 河野祐輝(こうのゆうき)の目指す道
今年1月から始まった五輪選手育成のための強化合宿「JGTOゴルフ強化セミナーin宮崎フェニックス・シーガイア・リゾート“2016年リオデジャネイロオリンピックを目指して”」。
いよいよ“最終回”にあたる3回目の“宮崎キャンプ”に参加した河野祐輝(こうのゆうき)は、そんな思いを強くして、最終日を迎えた。
昨年のチャレンジトーナメントで賞金ランキング1位に輝き、今年はいよいよツアーへの本格参戦を控えたこのオフ。河野が心に強く誓ったことは、「去年のような失敗はしたくない」。
いま思えば昨オフは、あきらかに準備不足のまま開幕を迎えたと思う。
それが証拠に自身の初戦から、実に4戦で予選落ちを喫せば、当時はリランキング(出場優先順位の見直し)の対象選手としては、さすがに目標の初シード入りにも届くわけもなく、チャレンジトーナメントで頑張るしかなかった。
それが、結果的には今季のフル参戦を得ることにつながったのだが、だからこそ同じ過ちはしたくない。
そんな思いもあって、参加したこの強化セミナーだったが“チャレンジの星”として、今年さらなる飛躍を目指す河野にとってはなおさら得るものが多かった。
特に、人間の体の動きには4つのタイプがあるとされる廣戸聡一氏の「4スタンス理論」の講義では、「体の動かし方などが以前よりもよく理解できるようになり、飛距離も日に日に伸びていくような実感があって」。
実践ラウンドは、4日間で争うトーナメント方式で競われ2日目以降は成績順で組まれる。最終日最終組は、同組の井上忠久と1打差で出て行った。たとえ、これが合宿であっても「他の誰にも負けたくない」。強い気持ちでスタートするなり先輩プロの戦意を喪失させた。
「河野に楽には勝たせない、と思って俺も出ていったけど、あいついきなり1番でイーグルですよ。途中からは、手がつけられへんようになって。もう好きにして、って。今日は彼の一人舞台」と、井上も嘆息した。
河野も「最近、日本ではあまり良いスコアが出てなかったので。どうかなと思っていたんですけど今週は、尻上がりに良くなった」と最終日の68は、合宿の成果をしっかりとスコアに結びつけたかっこうだ。
通算6アンダーで今回は合宿3回目の“優勝”を飾った河野はこの余韻もさめやらぬままに、このあと1日とおかずに沖縄に飛ぶつもりだ。
「このオフは、とにかく休みなく動き続けていたい」と河野は言う。
「先週は一緒に練習させていただいている小田孔明さんとやはり宮崎で合宿を張りましたし、タイにはすでに2度」。
とりわけ、最初の海外遠征はアジアンツアーのQスクールに挑戦するためだった。
他ツアーとの主管競技を多く抱える同ツアーは特に、「ヨーロッパに興味がある」という。
いま主流のパワーゴルフというよりは、「僕は球を操り、コントロールするのが好き」という河野は、強い風や難条件でこそ、自分の特性が生かせるのではと考えている。
「悪天候が好きなんです。イギリスのリンクスコースとか・・・。考えただけで、テンション上がる。技を使って攻めるゴルフが僕には合ってるんじゃないかと思うので。トリッキーなコースほど面白そう、回ってみたいとかき立てられる」と、世界の舞台も見据えている。
Qスクールは残念ながら、出場権のある40位内には届かず今年はひとまずお預けとなったが、その分しっかりと課題も拾って帰ってきた。
「僕はショートゲームが弱い」と、今回の強化セミナーでも自分なりに課題を掲げて、弱点克服に重きを置いた。
松林にセパレートされた難コースでも、安定したゴルフが光った。
各地を飛び回るこのオフは、昨年末から体重は7キロ減。
陽に焼けた肌はますます精悍な顔つきで、「今年は日本シリーズの出場が目標です」。
その年の勝者と、賞金ランキング25位内まで(昨年実績)の選手にしか権利のないツアー最終戦の切符獲りを今季の目標に掲げた河野。「また何度でも挑戦したい」とアジアを足がかりにした欧州ツアーへの参戦も諦めてはいない。
そして2016年には、この合宿の一番の目的でもあった、リオ五輪も待っている。
「プロとしてやっている以上、そこを目指して行きたい。これからますますレベルアップをはかって、ぜひ出られるように頑張りたい」。24歳の3年後が、楽しみだ。