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〜全英への道〜 ミズノオープンよみうりクラシック 2010

細川和彦はサッカーのW杯にあやかって「俺にも流れが来ないかな」

先週2週間のオープンウィークを利用して、家族で信州の善光寺を参拝した。その御利益は確かにあった。今年から採用されたウェッジの新溝規制。その影響で、いまひとつしっくりしなかったアプローチが冴えて、ショット、パットともにうまく噛み合った。

「OBも気にならず、自分のスイングが出来ていると思う」。
通算7アンダーはこの2日間、納得のゴルフが出来ている。

全英オープンの日本予選をかねた今大会。今年は特に、胸に期するものがある。
かの大会は、98年から3年連続で出場。
もっとも直近の2000年の会場が、やはりセントアンドリュースだった。
予選2日目の18番でバーディを奪い、辛くも決勝ラウンドに進出した。
「土日は、ウーズナムと回ったんですよ」。
当時の思い出なら、いくらでも語れる。
それくらい、聖地で感動の体験をした。

あれから10年の節目は、「もう一度、あの舞台に立ちたい」という思いが強い。
もちろん、当時のイメージのまま挑めば、跳ね返されるに決まっている。
「年を取って、体力が落ちて、体は言うこときかないだろすし、きっと気持ちも全然違うと思います」。

まして、細川は2001年に発症した「潰瘍性大腸炎」という持病がある。
原因不明の難病とされ、治療法はまだなく、医者には「一生、つきあっていくしかない」と言われている。
薬はいまだに手放せない。
春先や、季節の変わり目には決まって調子を崩し、遠征中に病院に駆け込むことも。
そんな理由もあって、オフの神社仏閣巡りの「縁起担ぎ」はもはや、細川のライフワークでもある。

この正月には東京・柴又の帝釈天で、鐘をついた。
神にもすがりたくなるほどの病いを抱えながら40歳を迎えたいま、憧れのメジャー舞台でどんなゴルフが出来るのか。
「試してみたい。行って挑戦してみたいんです」。
この日早朝に、デンマークを破ったサッカーの日本代表にあやかって、「俺にも、流れが来ないかな」と冗談交じりに言って笑った。

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