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矢野東が大阪でチャリティ活動を実施

7月27日の土曜日は、ナニワの真夏の昼下がり。ハイソでオシャレな関西マダムが、続々と集まってきた。ここは老舗デパート「JR大阪三越伊勢丹」。9階にある、新進気鋭のゴルフウェアショップ「MARK&LONA(マークアンドロナ)」でおこなわれたチャリティイベントは、「WHITE MARKER PROJECT / ホワイトマーカープロジェクト」だ。

同メーカーとウェア契約を結ぶ矢野東がこの活動を始めたのは3年前だ。代表取締役社長で、デザイナーの松村智明さんとこんな話で盛り上がった。
「お互いゴルフに関わる者同士。何か、恩返し出来ることはないかな?」。

オリジナルの白いゴルフマークを作り、その売り上げを義援金として役立ててもらうのはどうか? オシャレを通じた社会貢献という発想は、いかにもツアーきってのファッションリーダーらしい。とんとん拍子に話が進んだ。スタートに向けて、準備をしていたちょうどそのときだった。

東日本大震災が起きた。松村さんと沈痛な思いで最初の寄贈を、被災地の支援に役立ててもらうことに決めたのだった。
その後はホワイトマーカーの売り上げのほかにも、年に一度のチャリティコンペや、今回はここで2回目となるファンとの記念撮影会などを通じて活動を続けてきた。

この日は、開始時間の14時前。“主役”の登場を待つ女性たちが、だんだんソワソワし始めた。次第に膨れあがっていく人垣には、相変わらず男性の影はいっさいなし。デビューから、36歳を迎えた今もダントツの女性人気は変わらない。

矢野が登場するなり小さな、しかし感極まった悲鳴のような、そんな可憐な女性たちの声を合図に、撮影会は始まった。その合間にファンとの楽しいおしゃべり。「次の試合はどちらですか?」。質問に、満面の笑顔で答えながらも矢野にはひそかに一抹の不安が胸をよぎる。

腰に違和感を覚えたのは、ジャパンゴルフツアーアジアシリーズの「インドネシアPGA選手権」から帰国後、すぐのころ。痛くてほとんど練習も出来ない。しかも日に日に症状は深刻となり、ついに医者をたずねたのは6月だった。

MRIで、椎間板ヘルニアだと分かった。それでも騙し騙しでどうにか7月まで休まずに踏ん張り、ひと月ほどツアーの日程が空く今は、出身の群馬でおこなわれる地区オープン競技をのぞいて、予定していた試合もすべてキャンセル。治療に専念している。

これから秋に向けて、松村さんがデザインしてくださったウェアは「本当に、かっこいいものばかりで」。街中でもオシャレに着られるとして、若者にも絶大な人気を誇る同社のウェアは、今後はたとえばトレンドのサリエルパンツをゴルフウェアにアレンジした最先端のデザインを、実際にトーナメント会場で“モデル”としてお披露目していくという、大事な使命が矢野にはある。

それだけに、ケガの完治はいま最大のミッション。また今後予定している身体の不自由な子どもたちへの支援や全国の孤児院に、推薦書籍を届けていく活動、また被災地の子どもたちにスナッグゴルフセットを寄贈していくなど、松村さんと構想を練っている新たなチャリティ活動にも影響してくる。
「トレーナーは、このひと月ほど安静につとめれば、必ず治ると言っている。その言葉を信じて頑張ります!」。
次は8月の「関西オープン」でまた、関西のゴルフファンにも元気な姿で再会したい。

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