当時は雨と、あたりに靄もかかっていたから、ティショットがどこに落ちたかも、全然見えなかった。歩き出してしばらくして、同じ組のタワン・ウィラチャンに「入ったよ！」と声をかけられても、にわかには信じられなかったという。

４番アイアンで打ったボールは手前で幾度かバウンドして入ったようだ。

試合で初めてホールインワンを達成したのは1999年のＪＣＢクラシック仙台。「あのときは、嬉しすぎてテンぱっちゃって。もう要らないのになぜかパターを持ってグリーンに上がった」と、そんな初々しいミスもなつかしく思い出される。

しかし、あのときは該当ホールではなかったが、「確かご褒美として30万円を頂いたかな？」。今回は、当時の10倍の賞金を手にした。15番ホールにかかっている野村證券（株）提供のホールインワン賞はなんと300万円。

まさに一攫千金は、今季これまでの獲得賞金でいうなら、約５倍･･･。「それは、言わないで！」とベテランは悲鳴を上げて周囲の声をかき消した。「ショットが曲がっているから･･･。このあとは、すぐに練習場に向かったって書いておいて」。せっかく快挙達成も、苦笑いですたこらさっさと逃げ出した。